加藤勝信内閣官房副長官は8日、安倍晋三総理の広島での平和祈念式典あいさつが冒頭部分で昨年のものとほとんど同じだったことなどについて「核兵器廃絶に向けた首相の熱意が伝わらないなどの声がでているが」と受け止めを聞かれ、「総理のあいさつは犠牲者を悼み、平和に尽くす決意を述べられたものだった。その姿勢においては昨年も本年も全く変わりないということ」と説明した。
加藤官房副長官は「核軍縮や被爆者への1年間の施策の進展については、あいさつの中にしっかり盛り込まれている」とし、「あいさつは同じものではない」と強調。そのうえで「本年のあいさつに特段の問題があるとは考えていない」と述べた。
安倍総理のあいさつのうち「広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心からお見舞いを申し上げます。69年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました。7万戸の建物を壊し、一面を、業火と爆風に浚わせ、廃墟と化しました。生き長らえた人々に、病と障害の、また生活上の、言い知れぬ苦難を強いました。犠牲と言うべくして、あまりに夥しい犠牲でありました。しかし、戦後の日本を築いた先人たちは、広島に斃れた人々を忘れてはならじと、心に深く刻めばこそ、我々に、平和と、繁栄の、祖国を作り、与えてくれたのです。緑豊かな広島の街路に、私たちは、その最も美しい達成を見出さずにはいられません」とした、これら冒頭あいさつの文言は昨年のあいさつと比較して『68年』が「69年」になった程度で、ほとんど変わっていなかった。
一方で、後半部分では「来年は被爆から70年目という節目の年であり、5年に一度の核兵器不拡散条約運用検討会議が開催されます。核兵器のない世界を実現するための取り組みをさらに前へ進めてまいります」とした部分や「核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ核兵器廃絶に、また、世界恒久平和の実現に力を惜しまぬことをお誓いし」など、総理としてのメッセージ性の最も高い部分は今年の総理の思いとして語られていた。(編集担当:森高龍二)