介護職に就くために来日する外国人が累計2,000人を超えた。介護施設への調査や国際厚生事業団などの集計によって明らかにされた。このうち、経済連携協定(EPA)に基づいて日本語や介護の研修に公的支援を受けている外国人は、約1,540人となる。内訳はフィリピン人が約670人で、インドネシア人が約750人、さらに2014年度から新たに受け入れを開始したベトナム人が約120人となっている。またEPA以外では、フィリピンの民間団体が仲介となり来日したフィリピン人女性約590人が30都道府県の施設で働いており、合計で約2,130人となる。EPA以外の外国人は公的支援を受けられないため、渡航費や借金などで金銭的にも苦しい立場にある。介護環境を充実させるためにも、外国人に今後どのような支援を行っていくかが課題となりそうだ。
人手不足を補うためEPAに基づいて、介護業界にインドネシアやフィリピンなどから外国人労働者を受け入れるようになったのは08年度からだ。日本国内の介護労働者は約149万人と推計されているが、日本の国家資格である介護福祉士を取得して仕事に従事している外国人は13年度までにインドネシア人が608人、フィリピン人が520人で合計1,128人と少ない。介護業界における外国人労働者の拡大は難航している状態だ。
EPAでは原則、介護施設で3年間就労研修した後に介護福祉士の国家試験を受験することができる。今年3月に発表された第26回介護福祉士国家試験の結果では、外国人受験者215人中合格者はインドネシア人が46人、フィリピン人は32人で、合格率は36%だった。試験に合格できないまま在留期限が切れ、やむなく帰国した外国人は約830人にものぼっている。
政府の国家戦略特別区域である神奈川県は、6月に外国人介護福祉士の導入を先んじて行う方針を固めた。黒岩祐治知事はEPAに基づく現行制度のハードルの高さを指摘し、母国で資格を持った外国人の活用を考えていることを明らかにした。今後、政府と調整を図りながら在留資格の見直しなども検討し、迅速に対応を進めていくとしている。介護サービスの質を維持しながら、外国人活用の岐路は開けるだろうか。(編集担当:久保田雄城)