女性の就業比率は全産業平均で42.8%であるのに対し、バスやタクシーなどの運転手の仕事は1~2%程度しかない。特にタクシー運転手は平均年齢が58.3歳と高く、今後一斉退職した場合に深刻な労働力不足に陥ることが予想されている。
このところ人手不足で営業時間を短縮したり、やむなく休業せざるをえなくなった店があるという話をよく耳にする。レストランや居酒屋などの飲食サービス業や、建設業、運輸業でも人手が足りておらず、仕事はあるのに職人がつかまらずに受注することができないという企業もあり、最悪の場合、人手不足が原因で倒産に追い込まれてしまった会社もある。人手不足はバブル期以来とも言われており、景気の上昇と関連していることが指摘されている。また、少子化の影響が出始めているということと、人材確保のために賃金が上昇したことで労働者がより条件の良いところへと流れていることも原因としてあげられている。
人出不足の解消のために、政府は女性の雇用拡大促進を目指している。特にバスやトラック、タクシーの運転手など男性の割合が高い職種において、女性が働きやすい環境を整えるよう何らかの対策をとっていく方針だ。国土交通省の調べでは、女性の就業比率は全産業平均で42.8%と約半数にのぼるのに対し、バスの運転手では1.4%、タクシー運転手は2.3%、トラック運転手は2.4%という低い割合にとどまっている。こうした運転手の業務は深夜や早朝、休日などの勤務が多く、不規則な就業形態であるため女性や若者の就職希望が少ない職種でもある。中でもタクシー運転手の平均年齢は58.3歳で、全産業の平均年齢より16歳以上高い。数年後、いっせいに運転手が退職したとき、深刻な労働者不足に陥る可能性が高い。国土交通省はこのことを懸念して、短時間勤務の導入や業務に必要な免許の取得費用の助成を促して行くとしている。
さらに、厚生労働省は女性の雇用を促進させるために、中小企業の事業主に対して助成金制度を設けている。子育てや介護を行いながら働き続けることができるよう、家庭と仕事の両立を目的とした制度を導入する中小企業には、一定の条件を満たした場合、中小企業両立支援助成金などが付与される。事業所内に保育施設を設置したり、介護や育児のための休業や短時間勤務、女性の採用、女性の管理登用などに積極的な措置をとる企業を対象としている。人手不足で倒産ということにならないためにも、女性雇用促進につながる環境整備は急務だろう。(編集担当:久保田雄城)