日本マクドナルド<2702>が発表した国内全3135店の完全禁煙化からもわかるように、今や禁煙ブームはかつてないほどの高まりをみせている。それにより喫煙者がたばこを吸う場所がなくなり四苦八苦するという影響もあるが、しかしそれ以上に深刻な影響を受けるのがたばこ業界だ。ただでさえ禁煙ブームにより喫煙者の数が減少し続けるなか、さらに追い打ちをかけるように4月には消費税が増税された。これにより各社は販売価格を値上げ。これまで何度も行われてきたたばこの販売価格の値上げにもめげずに喫煙を続けてきたが、今回の消費税増税に伴う値上げを機に禁煙に踏み切った、こういう人も少なくないはずだ。
また消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減もあり、ここのところたばこの販売量は苦戦を強いられている。そうしたなか、日本たばこ協会15日、7月の紙巻きたばこ販売量を発表。それによれば、前年同月比3.9%ダウンの166億本、また販売金額は前年同月比0.5%ダウンの3558億円という結果であった。
そして同日には、日本たばこ産業<2914>(JT)も7月の国内紙巻たばこの販売実績を発表。それによれば、販売量は前年同月比4.4%ダウンの100億本、販売金額は前年同月比1.2%ダウンの569億円という結果であった。7月単月のシェアは0.3ポイントダウンして60.4%であった。また1~7月の累計で見てみると、販売量は前年同月比2.2%ダウンの651億本、販売金額は前年同月比0.7%ダウンの3633億円という結果であった。
さらに日本たばこ産業は先月末、14年5月時点での全国の喫煙者率を発表しており、それによれば男女計は前年よりも1.2ポイントダウンして19.7%という結果であり、喫煙者率がこうして20%を割り込むのは、今回が初めてのこととなる。消費税増税による値上げが影響したものとみられている。
他の業界と同様に、たばこ業界における反動減の影響も収束傾向にあるようなのだが、しかしたばこ業界の苦難はまだまだ続きそうだ。今の傾向を鑑みるに、これから喫煙者の数が増加していくとは考えにくい。なにか抜本的な対策を講じないことには、業績回復は難しいだろう。(編集担当:滝川幸平)