喫煙者の数は若い世代を中心に、どんどんと減少し続けているという。かつては飲酒と並び「大人の象徴」とみなされていた喫煙だが、年々健康に対する意識が高まる今、それはもはや「時代遅れ」の行為になりつつあると言えるだろう。もちろん禁煙エリアの増加や販売価格の値上がりなども、そうした喫煙者数減少の要因ではあるのだろうが、しかし一番の原因はやはりそうした「大人の象徴」から「時代遅れ」という意識の変容ではないかと思われる。
ちなみに筆者は喫煙者なのだが、そうしてたばこを吸う立場から辺りを見回してみると、ここ10年ほどで一気に非喫煙者の数が増えたように思う。これまでたばこを吸い続けていたが一念発起して禁煙したという30~40代の人、あるいはこれまで一度もたばこを吸ったことのない20代の若者などその内訳は様々だが、しかし確実に周りで非喫煙者の数が増加しつつあることを肌で感じる。そうした「非喫煙」傾向が強まり始めた10年ほど前、ライター・喫煙具を販売する会社に勤める筆者の知人が、業界の先細りについて不安を漏らしていたことをよく覚えている。これからは主力のライターだけでなく、携帯灰皿や電子たばこ、あるいは葉巻などの多岐に渡った商品展開を行わないと生き残っていけないのではないかと話していた。
恐らくたばこ業界の現状も、この知人の話した内容に近い状態だろう。喫煙者が減少し続ける今、ただたばこを売るだけでは立ち行かず、各メーカーともに高付加価値のあるタバコや価格の安いたばこを発売するなど様々な形で売上確保に努めている。しかしそうした努力に対して影を落としたのが、消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減であった。
13日に日本たばこ協会が発表した5月のたばこ販売本数は、前年同月比8.9%ダウンの154億本であった。販売額は前年同月比5.7%ダウンの3291億円。こうして反動減の影響により、本数、金額ともに2ヶ月連続でのマイナスとなった。しかし4月の前年同月比29.0%ダウンと比べるとそのマイナス幅は縮小しており、今後はそうした反動減も収束するのではないかとみられている。
反動減により一時的なものであるとはいえ、「非喫煙」の風潮が続くなかでのこうしたマイナスは業界にとって大きな痛手だろう。反動減の影響は今後収束する見通しとはいえ、なにか施策を講じないことには抜本的な解決は望めないものと思われる。(編集担当:滝川幸平)