企業が株主に対して配当以外の物品やサービスを提供する株主優待。近時は、株主優待の情報を取りまとめた書籍なども多く登場し、節約術の一つとしても注目が集まっている。この株主優待は、自社商品や商品券など、毎回恒例の物品やサービスが提供されることが多く、だからこそ情報をまとめた書籍等も登場しているのであるが、時折、こうした恒例のものとは異なり、企業のイベント等を記念して株主優待が実施されることがある。それが記念優待と呼ばれるものである。
飲料メーカーのダイドードリンコは、ドライゼリーのトップシェアを誇るたらみを6月18日付で買収・完全子会化したことを記念した優待を実施。事業領域の拡大を図り将来の更なる企業価値向上を目指すという同社の目指す方向性に対する理解を図るものとして、7月20日全国一斉着でたらみの主力商品であるフルーツゼリーの詰め合わせを株主宛に送付した。
また、ソフトウェアやフィールド、ハードウェアのソリューション事業などを手掛ける日本サード・パーティは、同社が「放射能プレミアムドックセンター」を設立したことを記念した優待を実施すると発表。サービスに対する株主の理解を深めようと、同センターにおける「各種被ばく検査」の無料ご優待券を進呈、1枚で同社内部被ばく検査、甲状腺被ばく検査、食品汚染検査のいずれかの検査を1回受けることが出来るという。
さらに、宝飾品の製造販売、眼鏡・時計の販売を手掛けるサダマツは、6月にJASDAQに上場して10年となるのを機に株主優待制度を変更。保有株数に応じた優待内容に変更すると同時に、「上場10周年記念優待権(10%割引券)」を追加すると発表。株主利益の公平性を図ると同時に、優待内容を拡充させている。
個人投資家を囲い込むことの出来る株主優待は、企業にとってもメリットとなるものである。そのため、ダイドードリンコなどは個人投資家を重視し、全国各地で四半期ごとの個人投資家向け説明会を実施。タイムリーな決算説明会と双方向のコミュニケーションを図るなどIR活動にも熱心である。しかし一方で、東証への上場を果たす為に株主数を増やす目的で優待制度を導入し、目的を果たすと制度を廃止するような企業も少なからず存在する。株主優待目的で株主となる際でも、優待の内容だけでなく、その企業が何に重点を置きどこを向いて事業を行っているか、しっかりと見極めることが重要であろう。