富士重、スポーツセダンWRXを2種、同時にリリース。六連星を掲げながら性格は大きく異なる

2014年08月26日 07:18

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STI(スバル・テクニカ・インターナショナル)が監修するWRX STI。かつてのWRC(世界ラリー選手権)で大活躍したWRカーの名を受け継ぐスーパーセダンだ。ボディカラーは「WRブルー・パール」

 富士重工業は2014年8月25日、スポーツセダン「WRXシリーズ」の新モデルとして「WRX S4」と「WRX STI」を発表した。この新型からモデル名のインプレッサWRXからスバルWRXに改められた。
 
 今回、WRX シリーズとして、S4とSTIが発表されたが、この2台はまったく別モノのクルマである。プラットフォームは両モデルともインプレッサと共通。だが、インプレッサには存在しないターボエンジンが与えられたモデルだ。

 簡単に説明するとS4は、インプレッサG4よりもスポーティなエクステリアのセダンで、燃費性能や安全性能を重視し、より幅広いユーザー向けに開発されたスポーツセダンWRXシリーズの新しい顔という側面を持つ。端的にいうと、インプレッサの兄弟といえるステーションワゴン「レヴォーグ」の2リッターターボエンジン搭載車のメカニズム&安全装備・快適装備などをWRXセダンに移植したバランスの取れたスポーティセダンである。

 一方、約7年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型WRX STIは、かつてのWRC(世界ラリー選手権)参戦車であるインプレッサ「WRX STi」を継承した六連星を掲げるスーパーセダンとしてスポーツ性能を徹底的に追求したクルマとして位置付けられる。富士重のモータースポーツ部門STI(スバル・テクニカ・インターナショナル)がWRCで獲得したノウハウが詰まったピュアスポーツともいえる。

 新型WRX S4とWRX STIはボディとシャシーが共通であるため、ボディ寸法も共通だ。ディメンションは全長×全幅×全高4595×1795×1475mm、ホイールベースはレヴォーグと共通の2650mm。従来モデルのインプレッサWRX STIと比べて、全長が15mm伸び、ホイールベースが25mm拡大した。これは、後席スペース拡大に貢献した。

 このボディとシャシーを基に、新型WRX S4とWRX STIを開発した。が、その違いが顕著なのがエンジンだ。両車両とも2リッター4気筒水平対向DOHCエンジン+ターボとしながら、WRX S4はダウンサイジング+ターボ・コンセプトの直噴「DIT」である「FA20型」を搭載。新型WRX STIはより高出力を期待できる「EJ20型」を搭載しているのだ。

 FA20は、6月発売の「レヴォーグ」に採用された2リッターターボDITエンジン。最高出力は300ps(221kW)/5600rpm、最大トルクは40.8kg.m(400Nm)/2000~4800rpm。圧縮比は10.6と、レヴォーグと完全に同一だ。

 一方、新型STIに搭載したEJ20は、従来型WRX STIを含めスバルのスポーツ車に長く採用されてきたスポーツユニット。最高出力は308ps(227kW)/6400rpm、最大トルクは43.0kg.m(422Nm)/4400rpm。圧縮比8.0だ。

 新型WRX STIでは、「よりエキサイティングな走りを求めるドライバーの期待に応えるため、加速レスポンスをさらに向上させ、究極のスポーツユニットと呼ぶにふさわしいエンジンに進化させ」、具体的には「エンジンECU(電子制御ユニット)の制御内容変更によって、ターボの過給圧制御をより緻密に行ない、加速レスポンスの向上と絶対的な速さを実現した」という。

 STIに組み合わせるトランスミッションは6速マニュアルだけで、シフトストロークの短縮と、大パワー&トルクに備えた完璧な強化が図られている。スバルが「スポーツリニアトロニック」と呼んでいる2ペダルCVTだけを搭載するS4と鮮明な違いがある。

 さらにSTIは、コーナリング特性をマルチモードスイッチで選択できるDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式の四輪駆動システムや、ブレンボと共同開発したベンチレーテッドディスクブレーキ、ビルシュタイン製のダンパー(フロントは倒立型ストラット式、リアはダブルウイッシュボーン式)、大型リアスポイラーなども採用している。

 税込み価格は、幅広いスポーツ性を得たWRX S4が334万8000~356万4000円、ピュアスポーツとも言えるWRX STIが379万800~411万4800円。月間販売目標台数は、WRX S4が400台、WRX STIが250台。(編集担当:吉田恒)