富士重工業<7270>が世界販売台数に対して強い意欲を示している。2011年7月に発表されていた16年3月期までの5ヶ年計画の目標数値を前倒しで達成出来たことを受けて、新たな中期経営計画を発表。そのなかで富士重工業は、20年までに世界での販売台数を110万台以上にするとの目標を掲げた。
富士重工業は9日に発表した中期経営計画「際立とう2020(Prominence 2020)」において、最重要市場である北米に新型スポーツ用多目的車(SUV)やプラグインハイブリッド車(PHV)を投入することにより、26%アップの60万台にまで販売台数を拡げるとしている。また日本と中国の市場を第2の柱とするとの方針も示された。
富士重工業は今回の中期経営計画を2つのポイントに分けており、1つが「強い事業構造を創る」であり、もう1つが「スバルブランドを磨く」というもの。世界販売台数の拡大は「強い事業構造を創る」ための取り組みの一環である。それ以外に総合生産性を20%向上させるための全社活動を開始するなどの取り組みが発表されている。また「スバルブランドを磨く」では、基本走行性能と質感にこだわることで、さらなる安心と楽しさを追求するとしている。
しかしこうした目標を掲げる一方、富士重工業は同日、北米の生産拠点でアメリカインディアナ州にある「スバル・オブ・インディアナ・オートモティブ(SIA)」でのトヨタ自動車<7203>の北米向けセダン「カムリ」の受託生産を終了させるとの発表を行った。これはカリフォルニア州で「ゼロ・エミッショ・ビーグル(ZEV)法」による環境規制が強化されることを受けた決定で、16年秋頃に終了させる。
今後「スバル・オブ・インディアナ・オートモティブ」では「カムリ」の代わりに新型SUVの生産に注力し、年間生産能力を今の17万台から17年3月期には31万台、そして21年3月期には40万台に引き上げる計画だ。
しかしトヨタ自動車とは引き続き協業する方針で、トヨタ自動車の技術協力によりPHV車を開発させ17年夏頃に北米に投入させる。また20年頃には新生代電気自動車(EV)を投入させるべく、開発を進めるとしている。
こうしてSUV車、PHV車などを北米に新規投入することで品揃えを増やし、世界販売台数拡大のための基盤としたい考えだ。(編集担当:滝川幸平)