川崎重工<7012>はトルクメニスタンの天然ガス液体燃料化設備を1500億円で受注と報じられ2円高。消防ホースの芦森工業<3526>は36円高で値上がり率2位、売買高10位と買いを集め、人工関節の日本MDM<7600>はしぶとく63円高で年初来高値を更新し値上がり率3位に入った。
小型株物色の日で中堅建設株がランキングをにぎわせ、建設セクターは業種別騰落率6位。売買高ランキングでは熊谷組<1861>が1位で売買代金との「2冠」になり、鉄建<1815>が売買代金ともども3位、三井住友建設<1821>が5位、不動テトラ<1813>が11位。値上がり率ランキングでは5位にイチケン<1847>、7位に日本基礎技術<1914>、8位にライト工業<1926>、9位に若築建設<1888>が入った。建設資材など周辺銘柄も買われ、日本コンベヤ<6375>は売買高8位でストップ高の50円高で値上がり率1位、川田テクノロジーズ<3443>は450円高で値上がり率10位、太平洋セメント<5233>は売買高9位、売買代金13位で、11円高で年初来高値を更新していた。
2月期決算銘柄が多い小売業は配当権利落ちの影響が大きく業種別騰落率最下位に沈んだ。セブン&アイHDは93円安、ユニーGHD<8270>はメリルリンチが目標株価を引き下げ23円安で値下がり率8位、ファミリーマート<8028>は40円安、ポプラ<7601>は19円安で値下がり率11位、ミニストップ<9946>は44円安、だが3月に経営統合を控えたマルエツ<8178>とカスミ<8196>はともに13円高と上昇していた。「銀のさら」「釜寅」のライドオン・エクスプレス<6082>は既存店売上高が好調で9月中間期の営業利益見通しを1.05億円上方修正して50円高。通期見通しは据え置いた。
今や家電量販店と言うより秋葉原の訪日外国人観光客向け免税店と言った方が正確な東証2部のラオックス<8202>は東証全市場の売買高で2位。売買代金ではソディック<6143>が2位で、東証2部指数は+0.70%で11日続伸し8月はまさに「2部の熱い夏」。もうドングリの背比べじゃない?
JR東海<9022>は前日にリニア中央新幹線の着工申請を行い、品川・名古屋間を自前で建設する総工費が従来見通しより935億円増加し、負担増を嫌って245円安。JR東日本<9020>は前日「2020年までに新幹線の時速400キロ運転」構想を打ち上げ、売買代金11位だが87円安と続落した。そのスピードなら北海道新幹線が札幌駅まで開業すれば東京駅から3時間半~4時間で着く。空港の保安検査場には15分前までに着かねばならず、搭乗口まで(から)延々歩かされたり、新千歳空港~札幌間のJR北海道の運転本数が少なくタイミングが合わないと15分も待たされることを考えると、新幹線が飛行機の乗客を奪うのも十分可能だろう。
川崎汽船<9107>は前日、ROE10%、1株当たり利益40円目標の中期経営計画を発表し、クレディスイスがレーティングを引き上げて売買高7位に入り8円高。海運セクターは業種別騰落率2位。三井不動産<8801>3円安、三菱地所<8802>21.5円安、住友不動産<8830>19.5円安で、不動産セクターは業種別騰落率30位で不振なお続く。
ゲーム・コンテンツ関連ではKlab<3656>が売買代金6位に入り67円高。コロプラ<3668>は60円安。化粧品クチコミサイト「アットコスメ」のアイスタイル<3660>は75万株、5億円上限の自社株買いを発表し一時ストップ高の58円高で値上がり率4位に入った。
新興市場は日経ジャスダック平均が0.60%、東証マザーズ指数が0.99%それぞれ上昇した。ミクシィ<2121>はプラスとマイナスの間で振らされた末に10円高。スマホ向け画像処理ソフト開発のモルフォ<3653>はストップ高の1000円高、クレディスイスがレーティングと目標株価を引き上げたサイバーエージェント<4751>は280円高。ゲーム市場で大ヒットはなくても中ヒットが多いのが評価された。フェローテック<6890>も三菱UFJ証券がレーティングと目標株価を引き上げて47円高。サイバーダイン<7779>は75円安だったが、ハーモニックドライブ<6324>はロボットの力を引き出す減速機の生産能力増強が報じられ465円高で年初来高値を更新していた。
この日の主役は大塚HD<4578>。前日、2018年12月期を最終年度とする中期経営計画を発表し、5年間で22品目の新薬発売で精神病薬「エビリファイ」の特許切れの影響をカバーし、最終年度の営業利益2000億円を目指す。戦略的投資と株主還元のバランスをとり、2015年12月期の年間配当は今期予想の75円から100円に増配すると発表した。自社株買いによる株主還元も機動的に実施するという。野村証券とJPモルガンがレーティングと目標株価を引き上げると売買代金5位に入り254円高で年初来高値を更新して値上がり率15位に入り、医薬品セクターを業種別騰落率トップに押し上げた。しかし、積極的な戦略投資と株主還元の二本立ては、口で言うほどやさしくはない。
(編集担当:寺尾淳)