【日経平均】ドル円104円台を受け74円高15600円台乗せ

2014年08月25日 20:19

 週末22日のNYダウは38ドル安で5営業日ぶりに下落したが終値17000ドル台は死守。NASDAQ総合指数は6.45ポイント上昇した。下落の要因はロシアのトラック約70台が赤十字の制止を振り切ってウクライナ国境を強行突破したというアクション映画さながらの実話。それがアメリカやNATOの非難を呼び欧米の株価を下落させたから「ランボー気取りのコンボイ野郎ども」も大したもの。怒りのアフガン帰還兵か? ジャクソンホールのイエレンFRB議長は早期利上げに含みを持たせつつ雇用に慎重な見方を示す安全運転でNYダウを下支え。好決算を発表したGAPは5.2%上昇。25日朝方の為替レートはドル円が104円台前半、ユーロ円が137円台半ばで、カリフォルニア州の地震にも反応薄で早朝から急にドル高円安が進んだ。

 22日のCME先物清算値は15550円。ドル円の104円台乗せを受け日経平均は70.24円高の15609.43円で始まる。TOPIXも上昇して1290台乗せ。しかしあっさり15600円を割り込んで下落はなかなか止まらず、午前9時14分に15576円まで下げる。9時42分にも15569円まで下げ、ドル円が104円台を維持しても上値が重たい。10時台も小動きしながら水準を切り下げ、上海、香港市場も下落スタート。それでもマイナスになることはなく11時1分に15553円で底を打ち、11時台は反転上昇。前場の動きはアメリカでCMEグローベックスの電子取引がシステムトラブルを起こし4時間停止し、11時に復旧した影響なのか? 前引けは15569円だった。

 後場は開始直後に15600円台に乗せ午後0時35分に15620円の高値を取る。15600円を瞬間割り込んでも直後に戻して底堅く、1時台は1時20分に15628円の高値を取りながら15600~15630円のレンジで小動きする。しかし15630円を上抜けるには手がかり不足。その状況は2時台もずっと続いてそのまま大引け。終値は74.06円高の15613.25円と反発した。日中値幅は75円で再び2ケタ。TOPIXも+5.24の1291.31と反発して終えた。売買高は15億株、売買代金は1兆4103億円で薄商いが続いている。

 東証1部の値上がり銘柄数は1162で全体の63%を占め、値下がり銘柄数は499。33業種別騰落率は値上がり25業種、変わらず1業種、値下がり7業種。プラスセクター上位は精密機器、鉱業、建設、化学工業、電気機器、海運など。変わらずは鉄鋼。マイナスセクター下位は電気・ガス、医薬品、保険、ゴム製品、陸運、石油・石炭などだった。

 日経平均採用225種は値上がり154銘柄、値下がり52銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+17円、2位は富士フイルムHD<4901>で+4円。マイナス寄与度1位は中外製薬<4519>で-13円、2位は日本ハム<2282>で-2円だった。

 メガバンクは一服ムード継続。みずほ<8411>は0.1円高、三菱UFJ<8306>は1.9円高、三井住友FG<8316>は7円高。証券は野村HD<8604>は2.2円安だったが大和証券G<8601>は8.3円高など、高安まちまちだった。

 自動車大手が、燃費を改善しながら大型車並みの出力を持つ新型ガソリンエンジン車を相次いで発売すると報じられた。ハイブリッド車(HV)より安い小型・高出力ガソリンエンジンでドイツ勢が制するヨーロッパ市場のディーゼル車に対抗する。記事でとりあげられたトヨタ<7203>は42円高、日産<7201>は1.5円安。一方、アジアでは小型車メーカーの戦略に新展開。ダイハツ工業<7262>は9月にもシェア3割を握るマレーシアで1000cc車の新モデルを投入と報じられ5円高。リッター21.6キロの低燃費戦略車。インドでトップシェアのスズキ<7269>は、インド市販車に搭載される低コストの簡易型自動変速機技術を8月末に日本で発売する軽商用車「キャリイ」に搭載すると報じられたが10.5円安。マツダ<7261>は21円高、三菱自動車<7211>は17円高、ホンダ<7267>は3円高だった。

 28日限りでJPX日経400採用銘柄から除外されるソニー<6758>はブラジルで映像配信サービスを開始し17.5円高で11日続伸。日立<6501>も13円高と買われた。パナソニック<6752>は11円高。JVCケンウッド<6632>は、カーナビ世界最大手、アメリカのガーミン社との純正カーナビ共同開発が伝えられ、売買高2位、売買代金8位に入り65円高で年初来高値を更新して値上がり率1位。パイオニア<6773>は売買高9位、22円高で年初来高値更新、クラリオン<6796>は売買高11位、9円高とカーナビ関連銘柄は連れ高した。

 パソコン保守サービスのウチダエスコ<4699>は7月期の業績見通しを上方修正し、営業利益、経常利益は5%増、最終利益は14.9%増。16円高で年初来高値を更新した。村田製作所<6981>はアメリカのスマホ部品大手ペレグリンセミコンダクタを約490億円で買収することで合意し80円高。

「ドングリの背比べ」のような東証2部で2銘柄が健闘。放電加工機のソディック<6143>はストップ高の300円高で年初来高値を更新し、売買代金は東証全体の2位。7月に金属3Dプリンターへの参入を発表したことでテーマ物色され、値動きの軽さも好まれた。9月12日に2部を卒業し東証1部に指定替えになる自動車部品の盟和産業<7284>は、9月中間期業績見通しの上方修正とともに1円の記念配当、720万株の自社株(金庫株)の売出しも発表しストップ高の50円高で年初来高値を更新。好材料と悪材料のチャンポンを投資家は責任もって食べる。

 建設関連は前週からテーマ物色される鉄建<1815>は売買高6位、売買代金9位で17円高。PS三菱<1871>は土砂崩れや河川の氾濫を遠隔監視するシステムを開発と報じられ3円高。広島県で深刻な水害が起きた直後だけに注目された。国土交通省は、親族から住宅購入資金の贈与を受けると最大1000万円まで贈与税がかからない優遇措置の枠を3000万円に拡大するよう、2015年度の税制改正で財務省と調整に入ったと報じられた。消費増税で落ち込んだ住宅市場を立て直すというが、所得税の住宅ローン減税と異なり贈与税がかかるほどの資産がないファミリーには全く無関係。「安定税収の所得税は1銭たりとも減らすな」が官僚の合い言葉らしい。それでも積水ハウス<1928>7.5円高、大和ハウス工業<1925>8円高など住宅関連銘柄が反応をみせていた。