【日経平均】中国PMI悪化を問題にせず131円高9日続伸

2014年08月21日 20:39

 20日のNYダウは59ドル高で3日続伸したが17000ドルの大台には届かず、NASDAQは1.03ポイント安で6営業日ぶりに下落した。7月のFOMCの議事要旨が発表され利上げを活発に議論したことが明らかになった。マーケットは「談論風発また良き哉」ではなく「利上げを前倒しされそうで怖い」という受け止め方で上げ幅を圧縮したが、影響は限定的で終盤は上昇した。FOMCメンバーの間では慎重派も決して少数ではない。ハイテク系がふるわずツイッターは0.1%、フェイスブックは0.6%、グーグルは0.4%、マイクロソフトは0.8%下落して終えた。為替市場のほうは早期利上げ観測が有力で、21日朝方の為替レートはドル円103円台後半、ユーロ円137円台半ばと円安が急進した。

 CME先物清算値は15560円。日経新聞朝刊に「税率10%への消費増税を控え政府が2015年度予算で約1兆円の景気対策を検討」という記事がわざとらしく出た。PKO、PLOと称される株価操作的視点で言えば、この日の恐れは8連騰して「そろそろか?」を海外の先物売り勢力につけ込まれることか? それとも今まで何度も痛い目にあわされた中国のHSBCのPMIか? しかしNY株高と円安進行で「タマのムダ撃ち」の感もあり。

 日経平均は76.53円高の15530.98円で始まる。TOPIXは1285オーバーでスタート。しばらく15530円前後でもみあうが、午前9時30分頃から尻上がりに上昇し10時22分に15600円にタッチして1分後に15601円の高値をつけた。テーマ株や低位株や新興市場よりも銀行、証券、自動車、電機などの主力銘柄が買いを集め、日経平均とTOPIXが足並みを揃える「上げ相場の王道」。しかしその後は15600円の軒下で動かなくなり、過去にトラウマがある中国のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)を「鬼が出るか蛇が出るか」と息をひそめて待つムード。10時45分の発表は市場予測51.5を大きく割り込む50.3という3ヵ月ぶりの低水準で「鬼」が飛び出す。上海、香港市場は下げ足を速め日経平均は15570円台まで下落するが、為替が円安水準を保ったので15570~15580円台をほぼキープし、前引けは15575円だった。

 後場は前引けから22円下げ15553円で再開。104円にタッチしそうだったドル円が円高方向に折り返したのが影響して上値を抑えられ、午後1時台からは15560円前後でネコのように静かに眠る「シエスタ」。2時に7月の全国スーパー売上高が発表され、既存店ベースで2.1%減で4ヵ月連続マイナス。食品スーパー売上高のほうは既存店ベースで0.2%増だった。2時台の日経平均は少し上昇し15560~15580円台で動いて大引け。終値は131.75円高の15586.20円で昨年末の大納会までの9連騰と並ぶ9日続伸。日中値幅は76円でこの日も100円未満だった。TOPIXは+11.55の1291.19と反発して1290台に乗せていた。売買高は20億株で大台回復、売買代金は1兆7851億円だった。

 値上がり銘柄は1311で全体の72%を占めた。値下がり銘柄は372。上昇した業種は31で下落した業種は2。プラスのセクター上位は証券、その他金融、不動産、ゴム製品、保険、精密機器など。下位はその他製品、ガラス・土石、繊維、サービスなど。マイナスのセクターは鉱業、空運だった。

 日経平均採用225種は値上がり187銘柄、値下がり26銘柄。プラス寄与度1位はソフトバンク<9984>、2位はKDDI<9433>でともに+7円。マイナス寄与度1位はコナミ<9766>、2位はキッコーマン<2801>で、ともに-1円未満だった。

 この夏ずっと出遅れていた金融関連は元気を取り戻し、メガバンクはみずほ<8411>が2.2円高、三菱UFJ<8306>が12円高、三井住友FG<8316>が56円高で、どれも1%を超える上昇。軟調が続いていたノンバンクのアイフル<8515>も反発し35円高で値上がり率7位、売買高2位、売買代金1位。オリックス<8591>は35円高、クレディセゾン<8253>も74円高と上昇をみせ、その他金融セクターは騰落率2位に入った。

 トヨタ<7203>と新日鐵住金<5401>など鉄鋼大手は4~9月の鋼板価格を10~3月期比トンあたり3000円弱(3%弱)の値下げで合意。値下げは1年半ぶりでトヨタは39円高、新日鐵住金は3.3円高。ホンダ<7267>は80.5円高、富士重工<7270>は62.5円高、初めての無借金経営になる見通しが出たマツダ<7261>は67円高。スズキ<7269>は66円高。インドで二輪車販売店を倍増させると報じられたヤマハ発動機<7272>は16円高だった。円安を受けて電機も好調で、ソニー<6758>は15円高、パナソニック<6752>は8円高、東芝<6502>は6円高。しかしNEC<6701>はザラ場中ずっとマイナスで値動きなし。

 今月末にJPX日経400に採用されるセイコーエプソン<6724>は130円高、コニカミノルタ<4902>はゴールドマンサックスがレーティング、三菱UFJ証券が目標株価を引き上げ41円高で、ともに年初来高値を更新した。情報関連では豆蔵HD<3756>が59円高で値上がり率4位。建築や機械の設計には不可欠の存在のCADで最大手の福井コンピュータ<9790>は75円高で年初来高値を更新し値上がり率16位に入った。