【今週の展望】秋風に乗って先物主導の値動きが帰ってくるか

2014年08月31日 20:11

 今週、9月第1週(1~5日)は5日間の取引。北海道など寒冷地を除けば子どもたちの夏休みが終わって1日から2学期。政界では2日に自民党の党執行部人事、3日に内閣改造人事が行われ、秋の政局はいきなり本番になるとみられている。1年8ヵ月余り、「アベノミクス」を引っ張ってきた安倍内閣の閣僚の顔ぶれが変わる。前週に各省庁の2015年度予算案の概算要求がゾロゾロ出てマーケットに影響を及ぼしたが、秋の臨時国会に提出されそうな景気対策の補正予算案の中身も気になるところ。8月29日に発表された経済指標が示すように足元の景気は決して良くはない。3~4日には日銀の金融政策決定会合、4日には金融緩和は必至とみられるECB理事会がある。5日にはアメリカの雇用統計が発表されるなど今週は大きなイベントが並んでいる。

 世界の主要国の株式市場の休場は、1日はアメリカとカナダが「レイバー・デー」の休日でNY市場は3連休になる。ベトナムも建国記念日の振替休日で休場する。

 国内の経済指標は1日の法人企業統計、5日の景気動向指数が重要。1日は4~6月期の法人企業統計、8月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、自動車販売台数、2日は8月のマネタリーベース、7月の毎月勤労統計調査、ファーストリテイリング<9983>の8月の国内ユニクロ既存店販売データ、3日は8月のマークイットサービス業購買担当者景気指数(PMI)確報値、5日は7月の景気動向指数速報値が、それぞれ発表される。

 1日に東京でインドのモディ首相と安倍首相が日印首脳会談を行う。この日、NKSJHD<8630>傘下の損保ジャパンと日本興亜損保が合併し、NKSJHDの社名はイニシャルの順番が入れ替わり「損保ジャパン日本興亜HD」に変更される。3~4日に日銀の金融政策決定会合が開かれ、4日の午後3時30分から黒田総裁が記者会見を行う。5日は日銀の金融経済月報が発表される。

 主要企業の決算発表は後半に少し増える。秋の新規IPO、再上場、指定替えの話題がにぎやかになってきたが、次回の新規IPOは9月11日。1日は伊藤園<2593>、ピジョン<7956>、ダイドードリンコ<2590>、内田洋行<8057>、2日は東日本ハウス<1873>、ナトコ<4627>、3日はロックフィールド<2910>、三井ハイテック<6966>、東京楽天地<8842>、4日は積水ハウス<1928>、モロゾフ<2217>、クミアイ化学工業<4996>、巴工業<6309>、アルチザネットワークス<6778>、ファースト住建<8917>、5日はベルグアース<1383>、クックパッド<2193>、日本駐車場開発<2353>、アスカネット<2438>、日東製網<3524>、イムラ封筒<3955>、OSG<6757>、丹青社<9743>が発表する。

 海外の経済指標は1日早々、中国の2つのPMIに要警戒。HSBCのPMI速報値は50.3で3ヵ月ぶりの低水準だった。アメリカの2日のISM製造業景況指数や3日の製造業受注も重要だが、それと並んであなどれないのが今週は多いオーストラリアの経済指標とその政策金利。中国政府が手心を加えられない中国経済の〃正確な裏指標〃扱いされている上に、日本との時差が小さいので東京市場のザラ場中に発表されることが多く、今まで何度も何度も、オーストラリアの経済指標、金利、為替の変化が東京市場の為替レートや株価に大きな影響を及ぼしてきた。

 1日は中国の8月の物流購入連合会の製造業購買担当者景気指数(PMI)、8月のHSBCの製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、ドイツの4~6月期の国内総生産(GDP)確報値、フランス、ドイツ、ユーロ圏の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、2日はオーストラリアの4~6月期の国際収支、アメリカの8月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、ISM製造業景況指数、7月の建設支出、3日はオーストラリアの4~6月期の国内総生産(GDP)、中国の8月のHSBCのサービス業購買担当者景気指数(PMI)、フランス、ドイツ、ユーロ圏の8月のサービス業購買担当者景気指数(PMI)確報値、ユーロ圏の4~6月期域内総生産(GDP)改定値、アメリカの7月の製造業受注、8月の新車販売台数、4日はオーストラリアの7月の貿易収支、小売売上高、ドイツの7月の製造業受注、アメリカの8月のADP雇用レポート、7月の貿易収支、8月のマークイットサービス業購買担当者景気指数(PMI)確報値、8月のISM非製造業景況指数、5日はドイツの7月の消費者信頼感指数、アメリカの8月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)が、それぞれ発表される。