28日のNYダウは42ドル安で4営業日ぶりに反落し、NASDAQは11ポイント下落した。ウクライナの大統領が「ロシア軍が領内侵入」と緊急声明を出しNATOもその数1000人以上と確認して地政学的リスク再燃。序盤は軟調だったが、100ドルを超える下げから午後は持ち直して終えた。下支えは経済指標の良さで、アメリカの4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は速報値から0.2ポイント上方修正され年率換算4.2%増で市場予測を上回った。新規失業保険申請件数は改善。仮契約住宅販売指数は3.3%上昇し1年ぶりの高水準だった。ゴールドマンサックス、JPモルガンなど金融大手がサイバー攻撃を受け軒並み安。29日朝方の為替レートはドル円が103円台後半、ユーロ円が136円台後半で、前日よりも円高が進んでいた。
CME先物清算値は15405円。取引時間前に7月の経済統計がまとめて発表された。労働力調査は完全失業率が3.8%で市場予測より悪かったが、有効求人倍率は1.10倍で依然として1倍オーバー。消費者物価指数(CPI)は7月全国が+3.3%で6月分、市場予測と同じ。8月東京都区部が+2.7%で7月分、市場予測と同じと全くの横ばい。家計調査の2人以上世帯の消費支出は-5.9%で市場予測の-3%を下回りネガティブ。4月分から4ヵ月連続でマイナスが続く。鉱工業生産指数速報値は+0.2%。6月の-3.4%から戻りがにぶく市場予測の+1.0%を下回った。商業販売統計速報の小売業販売額は+0.5%。百貨店とスーパーの合計は+0.3%だが既存店ベースは-0.6%、コンビニは+5.7%で既存店ベースも+0.8%だった。
日経平均は35.98円安の15423.88円で始まる。TOPIXは-3.39の1277.35、朝から31銘柄が入れ替わって算出が始まったJPX日経400は-32.68の11597.64で始まった。序盤は下落するが、午前9時3分の15406円で底を打ち前日終値時点の25日移動平均線15399円の手前で踏みとどまる。反転して日経平均は9時台いっぱいおおむね15400円台は維持していたが、10時を回ると15400円も25日線も割り込み10時28分に15366円まで下げる。上海市場は序盤プラス、香港市場はマイナス。少し持ち直しても11時台は再び下げて11時7分に15356円まで下落し、前引けは15365円だった。
後場は逆に値を戻す展開。午後1時台には25日線を上回って15400円台を回復し、1時54分には15439円まで上昇。その後もプラスまでは戻らないがソフトバンク<9984>の堅調に支えられて15400円台はしっかり維持した。終値は35.27円安の15424.59円と続落し、2勝3敗、22日終値から114.60円下落して今週の取引を終えた。7月31日の終値からは196.18円下落して、地政学的リスクに翻弄された8月を締めくくった。日中値幅は91円。TOPIXは-2.77の1277.97と続落。JPX日経400は-35.67の11594.65。売買高は20億株、売買代金は1兆8052億円だった。
東証1部の値上がり銘柄数は694、値下がり銘柄数は949。33業種別騰落率は上昇が23業種、下落が10業種。プラスのセクターの上位はゴム製品、不動産、輸送用機器、非鉄金属、建設、石油・石炭など。マイナスのセクターの下位は情報・通信、精密機器、その他製品、陸運、パルプ・紙、海運などだった。
日経平均採用225種は値上がり74銘柄、値下がり141銘柄。プラス寄与度1位はソフトバンクで+28円、2位はKDDI<9433>で+3円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>で-12円、2位はアステラス製薬<4503>で-4円だった。
メガバンクはみずほ<8411>値動きなし、三菱UFJ<8306>1.3円高、三井住友FG<8316>が大きく上昇し53.6円高。金融庁は前日の自民党財務金融部会で、20歳以上の非課税枠を年120万円に拡大し、新たに0~19歳対象の非課税枠80万円の「未成年のNISA」を創設するNISAの拡充案を示した。ただし1世帯の非課税枠は200万円上限。証券セクターは野村HD<8604>が0.7円安、大和証券G<8601>が17.3円安、松井証券<8628>が8円安と反応なし。
トヨタ<7203>は三菱UFJ証券がレーティングを引き上げたが7円安。日産<7201>は10円安。マツダ<7261>は41円安と自動車大手は軒並み安。ホンダ<7267>が国に、ブラジル現地法人の事業に関する約75億円の追徴課税取り消しを求めた訴訟の判決が東京地裁であり、ホンダ側が全面勝訴だったが18.5円安。こんなことがあるのが「法の支配」ということ。JPX日経400から除外されて1日目のソニー<6758>は24円高。シャープ<6753>は前日、パイオニア<6773>との資本提携を解消すると発表。シャープは3円高、パイオニアは5円安。業務提携は継続するがシャープはパイオニア株を自由に売却できるようになり財務改善が図れる。パナソニック<6752>、日立金属<5486>と大阪大学などは、日本が競争力を保持している「パワー半導体」でシリコン以外の材料を使う省エネ型量産技術を2016年度を目標に共同開発すると報じられ、パナソニックは7円高、日立金属は9円安。エネルギー損失は従来の6分の1以下という。