「農業女子仕様」も登場、軽自動車版「日本の働くクルマ」代表、ダイハツ・ハイゼット15年ぶりにフルチェンジ

2014年09月03日 22:32

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15年ぶりのフルモデルチェンジを受けた新型ハイゼット・トラック(4WDエクストラ・5速MT車/価格110万1600円)。ハイゼットのモデルチェンジに合わせてOEM供給しているスバル・サンバー・トラック、トヨタ・ピクシス・トラックもモデルチェンジした

 ダイハツ工業が軽商用車「ハイゼット・トラック」を15年ぶりにフルモデルチェンジし、9月2日から全国のディーラーで発売する。

 ハイゼット・トラックは、1960年11月の発売以来、累計生産台数が398万台を超えるダイハツのロングセラーモデルだ。現在発売されているダイハツ車のなかではもちろん、現行軽自動車の商標のなかでトラックは54年、カーゴ(バン)は53年の長い歴史を持ったモデルだ。

 初代モデルはボンネット型トラック&バンだったが、1964年に登場した2代目(初代も併売)からキャブオーバー型になった。農業や建設業、運送業など幅広い業種のユーザーに支持されている「日本の働くクルマ」の代表でもある。

 今回のモデルチェンジにあたって、開発部隊は全国各地の軽トラックユーザーを訪問し、生の声を徹底的にヒアリングして開発に反映させたという。軽トラックに求められる積載性、耐久性や防錆性能等の基本性能の進化はもちろん、乗降性の向上や広い室内空間を確保した。

 15年前のフルモデルチェンジ以降、環境変化や多用途化に対応するためユーザーの幅広いニーズに対応。全8色のカラーバリエーションを用意した。また、用途や志向に合わせたパックオプションを豊富に設定し、ユーザーの使用用途に多彩に対応できる態勢が整った。

 今回のフルモデルチェンジのポイントは、「仕事がしやすい」クルマとして、乗降性の向上、広い室内空間、豊富な収納スペース、静粛性・乗り心地の向上が挙げられる。なかでも、フロントガラスを前方に出し、運転者とフロントガラスの距離を拡大。ステアリング角度を見直し運転席シートスライド量増加によって、小柄な女性から大柄な男性まで運転のしやすい室内空間を実現した。

 パワートレーンの進化も見逃せない。エンジンの高圧縮比化、燃焼改善、メカニカルロス低減、電子スロットル採用などでクラストップの低燃費19.6km/リッター(2WD/5速MT車)を実現した経済性も魅力のひとつ。オートマティック車は軽自動車トラックとして初の電子制御式4速ATを採用した。このATの採用で室内の静粛性も大幅に向上しているという。

 ボディ骨格の新設計や高張力鋼板などの採用で安全性の向上。キャビン、ドア、荷台などで構成されるアッパーボディの表面すべてを防錆鋼板化することでボディ外板穴あき錆保証5年、ボディ外板表面錆保証3年を全車に採用している。

 前述した多彩なボディ色のほかに、多様な用途に合わせたパックオプション用意され、なかでも注目は農林水産省の「農業女子プロジェクト」と連携し、女性農業従事者の軽トラック使用実態やニーズを調査。それに基づく「農業女子仕様」の魅力的な軽トラックの仕様・装備・意匠などを用意していることだ。

 ダイハツでは、新型「ハイゼット・トラック」をベースとして、頭上空間を広くした「ハイルーフ」や、キャビン後部を延長し、ゆとりのある室内空間とシートリクライニング機能を持つ「ジャンボ」、また「ダンプシリーズ」、「保冷・冷凍車シリーズ」など各業種用途で活躍する特装車両を開発中だという。

 今回発表となったベーシックなハイゼット・トラックの価格は、2WD車が65万3400円-104万7600円、4WD車が80万4600円-119万8800円。(編集担当:吉田恒)