進まない参院選挙制度改革 見直すべきは参議院そのものではないか

2014年09月05日 09:51

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参議院の「1票の格差」是正のための選挙制度協議会が開かれ、民主党と新党改革が提案した是正案が議論されたが、2党以外のすべてが反対を表明したため採用されなかった。この議論において、私たちがまず考えなければどのような参議院の姿を私たちは望むのかということだろう。

 まだ結論が出ないのか、という人も多いだろう。参議院の「1票の格差」是正に向けた議論が難航している。9月2日、参議院の「1票の格差」是正のための選挙制度協議会が開かれ、民主党と新党改革が提案した是正案が議論されたが、2党以外のすべてが反対を表明したため採用されなかった。これを受けて座長を務める脇雅史自民党参院幹事長は新たな座長案を11日の次回会合で示す方針を明らかにしたが、今月中旬には脇氏が座長から外れる可能性もあり、結論が出るのはまだまだ先となりそうだ。

 今回民主党と新党改革が提案したのは各選挙区で3年ごとに半数を改選する現行制度を改め、6年ごとに選挙を実施することで「定数1」などの定数奇数の選挙区を可能とする「奇数区案」だ。いずれの党も3年に一度選挙は行うとするものの、民主党は全国47都道府県を2つに分けての選挙、新党改革は1人区のみ6年ごとの選挙を提案しており、投票機会の平等を害するとの反対意見が続出した。しかし、採用可能性のある対案があるかと言えばそうとも言えない。

 脇座長が推進する都道府県をまたいで隣接選挙区を統合する「合区案」も身内の自民党から反対が出ており、小規模政党が求めているブロック制や比例代表制も自民・民主の二大政党に反対が根強い。どの案も採用の見込みは薄く、手詰まりであるのが現状だ。最高裁が「違憲状態」と判断した危機的状態であるにもかかわらず、制度改革の動きは鈍い。

 この参議院の「1票の格差」是正の議論において、私たちがまず考えなければどのような参議院の姿を私たちは望むのか、ということだ。たとえば、参議院に都道府県の利害の反映を求めるならば「合区案」などもっての他だし、参議院を純粋に国民の意思の反映と考えるならば比例代表制などの案が望ましいといえるだろう。

 イギリスの貴族院は中立的存在であり選挙ではなく任命と世襲によって議員が選ばれている。アメリカの上院は各州の代表であり、人口の多い州も少ない州も関係なく各州から2名ずつ議員が選ばれている。どの国もその存在目的をはっきりさせ、その目的に沿った制度を取っている。

 それでは日本の参議院はどうだろうか。「良識の府」と呼ばれた参議院も今や「衆議院のカーボンコピー」と言われるほど存在意義を見失っている。参議院に何を望むか、今こそ抜本的に見直しを行うべきだ。(編集担当:久保田雄城)