三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンクは7月、ミャンマーで本格的な銀行業務を行うことができる免許を相次いで申請した。同国は国内銀行の保護のため、外国の銀行に対し営業許可を与えなかったが、このほど金融政策を転換した。
三菱東京UFJ銀行<8306>、三井住友銀行<8316>、みずほ銀行<8411>のメガバンクは7月、ミャンマーで本格的な銀行業務を行うことができる免許を相次いで申請した。ミャンマーではこれまで国内銀行の保護のため、外国の銀行に対し営業許可を与えなかったが、このほど金融政策を転換し、外銀に免許を与える方針を打ち出した。すでに25行の申請を受理しているが免許がおりるのは5~10行程度となる。免許の発行は9月末を予定している。
免許を巡って日本の競争相手となるのが4行申請しているタイ、日本と同数の3行を申請しているマレーシア、シンガポール、台湾、韓国などだ。他、中国、インド、フランス、オーストラリアも申請を行っている。ミャンマー政府によると審査基準は「ミャンマー銀行業界に貢献できるかどうか」が要となり、それぞれの銀行が提案する内容を分析し選出するとしている。
ミャンマーは2011年3月に軍事政権が撤退し新政権が樹立。民主化と市場開放により急速に経済が成長しており、加えて人件費の安さから海外企業の進出も増加している。建設業やホテル開発、ゴム製品などの製造業、ルビーやサファイア、石炭、天然ガスなどの鉱物資源の開発も盛況で、農業や漁業などの分野でもビジネスが急成長している。ミャンマー政府は15年以降を目標に、さらなる経済発展を遂げるために、教育レベルの底上げを図る方針だ。現在は人口の約7割が農業従事者であるが、人材育成のために国民全体に教育や職業スキルを向上させる訓練を実施していくとしている。
これまで外銀は駐在員事務所や出張所を設置し、現地銀行と提携しながら取引先に金融サービスを行ってきた。三井住友銀行は12年にカンボーザ銀行と提携し、情報提供や技術支援などを実施。現地の人材育成にも力を注いできた。翌年にはミャンマー銀行協会を通して支援先を拡大し、現地銀行全体に影響力を広げた。銀行業務に関する研修もたびたび行い、参加者は現地22行で約500人を超えている。このような積極的な貢献活動により、免許獲得に向けて最有力候補との見方も強い。日本からミャンマーに進出する企業も増加する中、現地での銀行営業免許獲得は逃したくない商機でもある。(編集担当:久保田雄城)