【日経平均】後場の下落も中途半端で39円高で今週全勝

2014年09月12日 20:12

 朝から特別買い気配銘柄になったアステラス製薬<4503>は売買代金11位に入り49.5円高で年初来高値更新。経口アンドロゲン受容体阻害剤のエンザルタミドがアメリカで追加適応承認を取得したという材料。医薬品セクターは業種別騰落率2位だった。

 総合飲料受託生産のジャパンフーズ<2599>は、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動や夏の天候不順が響き4~9月中間期と3月期通期の業績見通しを下方修正して25円安。経常利益は一転28%減益。夏が夏らしくないとこんな影響が出る。アサヒGHD<2502>、キリンHD<2503>、サントリーのビール3社が、再上場するすかいらーく<3197>に100億円程度を出資するという話が出た。アサヒGHDは33.5円安、キリンHDは値動きなしで、歓迎されざる材料。

 高島屋<8233>は日経新聞に3~8月中間期の営業利益が会社予想を上回る8%増という業績観測が出て4円高で3日続伸。反動減が厳しかった小売セクターにも薄日が差してきたか? 8月の人気銘柄だったTASAKI<7968>は11~7月期(第3四半期)決算を発表し、売上高は15.6%増、営業利益は4.7倍と絶好調。利益はすでに数値をクリアしたが通期見通しは据え置き。真珠も宝飾品も訪日外国人観光客によく売れている。株価は材料出尽くし感もあり46円安だった。

 スターバックスコーヒージャパン<2712>は3月期通期の業績見通しを上方修正し、営業利益は従来予想115億円を19%増の130億円に引き上げ33円高で年初来高値更新。4月発売のデザート風飲料「フラペチーノ」がヒットして既存店売上高が伸び4期連続の最高益更新になる。王将フードサービス<9936>は地盤の西日本の天候不順などで売上が伸び悩み、原材料費も高騰して4~9月中間期の業績見通しを下方修正。純利益は18%減の見通しでも125円高だった。

 ゲーム・コンテンツ関連では久しぶりに「妖怪ウォッチ」関連のハピネット<7552>が値上がり率ランキングに登場し91円高で13位。モルガンスタンレーがコナミ<9766>のレーティングを引き上げ、カプコン<9697>のレーティングを引き下げると、コナミは30円高、カプコンは41円安。「乗換案内」のジョルダン<3710>は9月期の期末一括配当予想を前期と同じ8円から13円に増額してストップ高の66円高で年初来高値を更新。9月は配当・優待取りのシーズンなので増配、記念配、株式分割、株主優待のニュースがこれから多くなってくる。

 新興市場は日経ジャスダック平均は0.25%上昇、東証マザーズ指数は0.70%下落。医師限定のコミュニティサイトを運営するメドピア<6095>は綜合臨床HD<2399>との業務提携と合わせ、9月末の株主を対象に1株を5株に分割すると発表し1500円高で年初来高値更新。綜合臨床HDは1円安。エナリス<6079>は新電力の融通ネットワークを構築と報じられ10円高。7月に事業再生ADR手続の対象企業になり、決算短信に「継続企業の前提に関する重要事象等」がつけられていたマザーズのアルデプロ<8925>は経常損益黒字転換、今期も黒字という7月期決算を発表し、借入金の一括返済、優先株への配当実施を評価され継続企業懸念の記載が解消し上昇したが、終盤に利益確定売りに押され7円安で終えた。古いビルの再生事業が好調で会社も再生。

 前日に東証マザーズに新規上場したジャパンインベストメントアドバイザー(JIA)<7172>に9時3分に5770円の初値がつき、公開価格2550円に対して2.26倍で秋の新規IPOシーズンは上々のスタート。終値は6770円とさらに上昇していた。

 この日の主役は総合商社。各社とも「脱・資源」と口を揃えるが、資源関連の新事業はやはり大きなニュースになる。日経新聞の1面を飾ったのは三菱商事<8058>が西アフリカのコートジボワール沖で日本企業では初めて探鉱権を取得し大規模油田開発に乗り出すという記事。総事業費は8000億円の見通しで、アメリカの石油大手と組んで2019年から生産を開始するという。株価は3.5円高で年初来高値を更新した。その資源分野で鉄鉱石、石炭など資源価格の下落が響き、分野別純利益が従来予想を50億円強下回る250億円弱になるという通期の業績観測が出た住友商事<8053>だが2円高。資本・業務提携で合意したタイ最大級の財閥チャロン・ポカパン(CP)グループとの協業を進める専門部署を設置した伊藤忠商事<8001>は8.5円高で年初来高値を更新していた。(編集担当:寺尾淳)