音楽を巡る環境の変化から業績不振が続いており、先日12日にはAV(音響・映像)機器事業をオンキヨー<6628>と経営統合させるとの発表を行っていたパイオニア<6773>だが、今度は16日に、ダンス音楽やライブなどで使用されるDJ(ディスクジョッキー)機器事業を、アメリカの投資ファンド「コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)」に売却するとの発表を行った。これはカーナビゲーションなどの自動車向け電子機器関連の事業に注力するための、事業再編の一環とみられている。
パイオニアによれば、DJ機器事業は2015年3月2日までに、本体から切り離されメリカの投資ファンド「コールバーグ・クラビス・ロバーツ」に590億円で売却される予定だ。さらにパイオニアは同日、15年3月末までにグループの人員10%に相当する2200人の人員削減も発表。AV機器事業のオンキヨーとの経営統合、そして今回発表されたDJ機器事業の売却、人員の削減により経営のスリム化を図りたい考えだ。
パイオニアのDJ機器事業は本体から分離され、「コールバーグ・クラビス・ロバーツ」が新しく設立した会社に590億円で譲渡される。その後、パイオニアがその新会社に14.59%出資を行う予定だ。そうしてDJ機器事業は売却されるものの、その後もパイオニアブランドは維持されるとのこと。またAV機器事業、そしてDJ機器事業が本体から切り離されることにより、来期以降は600億円程度の売り上げが減少する見通しが立てられている。
パイオニアのDJ機器事業は、これまでダンス音楽やライブなどで使用されるプレーヤーやミキサー、コンロトーラーを取り扱っており、14年3月期の売上高は216億円であった。また世界市場におけるシェアは約6割以上で、営業利益率は20%近くに達していた。
AV機器事業の経営統合、DJ機器事業の売却、そして2200人の人員削減。業績回復へ向けてなりふり構わぬ施策を行い続けているパイオニアだが、しかし今後注力するとしているカーナビゲーションなどの自動車向け電子機器関連事業が成果をあげなければ、業績回復は叶わない。パイオニアの再起への道のりは、まだまだ始まったばかりだ。(編集担当:滝川幸平)