第2次改造安倍内閣で新たに誕生した「女性活躍担当大臣」、その名称に「軽い」との批判も受けたが、どうやら安倍首相の女性が活躍できる社会をつくる意志は本物のようだ。 安倍晋三首相は都内で9月12日から14日まで開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」(World Assembly for Woman in Tokyo略称:WAW! Tokyo 2014)に参加した。首相が世界の経営者や政治家が集まる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)になぞらえて「女性版ダボス会議」と位置づけた同会議には、クリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事やシェリー・ブレア元英首相夫人らが出席した。
12日に女性登用の重要性について基調講演を行った安倍首相は、翌日の分科会の会合で女性起業家への補助金創設の意向を表明した。すでに女性を多く雇っている企業にも優遇制度を設ける方針を作成しており、女性の社会進出を促進する政策がこれから具体化しそうだ。女性支援の取り組みは先日の女性活躍担当大臣の創設でクローズアップされたが、安倍首相の取り組みはこれまでも行われてきたものだ。今年3月には活躍する女性と支援する関係者が意見交換をする「輝く女性応援会議」というプロジェクトを開始し、全国で同会議を開催してきている。
すでに手垢のついた感のある女性の社会進出だが、女性を取り巻く状況が改善しているかといえば必ずしもそうとは言えない。9月9日、経済協力開発機構(OECD)が加盟国の教育システムに関する調査の結果を発表した。それによれば、日本の大学以上の学位を持つ女性の就業率はOECD加盟国34か国中下から4番目の31位という最低レベルだった。加盟国全体の平均80%を10ポイント以上も下回る69%で、いわゆる高学歴と呼ばれる女性の能力が社会で十分に生かされていない現状が浮き彫りになった(高学歴男性の就業率は92%)。
このような現状を打破するため、安倍首相の取り組みには一定の評価をすべきだ。しかし、本当に考えなければならないのは「どうすれば女性が社会に出てくれるか」ではなく、「なぜ女性が社会に出られないのか」である。今のような性別による役割の分業意識が根強い社会では、いくら女性支援の政策を実施したところで劇的な変化は望めないだろう。本当に「女性が働きやすい環境」とは、男女が役割を分担することを支援し、女性に「選択」を許す社会である。安倍首相には、単なるバラマキに終わらない女性支援策を期待したい。(編集担当:久保田雄城)