開業率と経済成長は関連があることが指摘されている。政府は経済を活性化させるためにも地域で起業する人材育成を後押しする方針だ。その一環として創業スクールの開講を実施する。受講者は経営に関する知識やノウハウを学ぶことができる。
経済産業省中小企業庁は、今年8月~2015年1月頃まで、地方で起業するための「創業スクール」を順次開講することを発表した。起業する人材を育成し、地方の雇用創出や地域活性化を図るのが狙いだ。全国各地の商工会議所や信用金庫などが実施主体となり、現在145カ所において198コースの開講が決定している。講座は今後も増設していく予定で、実施機関を募集している。
受講者は経営をはじめ、会計や税務、マーケティングに関する知識を学び、創業に際して必要となるスキルやノウハウを身につけることができる。またビジネスプラン作成も支援するとして、起業を総合的にサポート。15年2月には受講の成果を発表する場として「全国ビジネスプランコンテスト」の開催も計画されている。受講料はベーシックコース で10,800円、第二創業・再チャレンジコース 5,400円、女性起業家コース 10,800円となる。
日本は開業率が低く、10%台のアメリカやイギリスと比較して、4~5%程度にとどまっている。開業率と経済成長は密接に関わっているという報告もあり、政府は産業の新陳代謝を促し経済を活性化させるためにも、地域で起業する人材育成を後押しする方針だ。
日本には100万人規模の創業希望者が存在するが、実際に起業までに至るのは3~4割にとどまっている。内閣府が実施した調査によると、創業時の困難としてもっとも多く挙げられた問題は「事業資金の調達」だ。続いて「販路(取引先)の確保」「高度な技術力、企画力、営業力を持った人材の確保」「会社の運営方法、人材管理等の経営ノウハウ」などがネックとなっているようだ。
政府はこのような問題を解決すべく創業支援施策を打ち出している。「創業スクール」の他、開業にかかる経費の一部補助制度や、創業希望者や創業5年未満の者を対象に経営強化のためのスキルアップ研修や専門家による支援策など、創業前から事業が軌道に乗るまで手広くサポートするとしている。しかし助成金の対応スピードが遅く、運用には実用的ではないという点や、金融機関からの借入金に対する債務が経営者のみならず家族にまで及ぶ個人保証制度の見直しも大きな課題として残っている。(編集担当:久保田雄城)