民法を明治以降初の大幅改正 現代社会のルール明確に

2014年09月15日 19:45

民法を明治以降初の大幅改正 現代社会のルール明確に

法務省は8月26日、民法改正を求める原案を法相の諮問機関である法制審議会の民法部会に提出した。民法部会ではこの原案が大筋で認められ、今後さらなる審議を重ねた上で、来年の通常国会を経て改正案の成立を目指していく。

 法務省は8月26日、民法改正を求める原案を法相の諮問機関である法制審議会の民法部会に提出した。民法部会ではこの原案が大筋で認められ、今後さらなる審議を重ねた上で、来年の通常国会を経て改正案の成立を目指していく。

 改正の柱となるのは債権分野だ。1896年に民法が制定されて以来、債権に関する改正は一度も行われていない。現代社会にそぐわない内容を見直し、インターネット取引など新たに社会に広がった経済活動に対応できるよう修正が必要とされている。これまでは過去の判例に基づいて裁かれることの多かった民事訴訟だが、民法改正によって慣習による曖昧なルールを見直し、国民の権利を守れるよう是正していく方針だ。

 改正案では「未払い金(ツケ)」に対する債権の期間が業種ごとに異なる点が問題として挙げられている。ツケの時効は飲食費用に対して1年、病院にかかった際の診察費は3年など、対象となるものごとにそれぞれ異なっていたが、期間を一律にまとめて5年に延長される。

 賃貸住宅に入居する際に必要となる「敷金」に関しても改正が施される見込みだ。敷金については返済義務などが民法で明確に規定されておらず、ルールが不明確なままやりとりされていた。敷金の取り扱い方に意識の差が生じることにより、借り主と家主の間でのトラブルも絶えない。原状回復費用として差し引かれることの多かった畳代や、壁紙の費用などにより、敷金がほとんど戻ってこないというケースは少なくなかったが、法改正によって、経年変化による家の傷みに対して借り主に原状回復の義務はないと規定が設けられる見通しだ。

 中小企業などの経営者が融資を受ける際に必要となる「個人保証」についても見直しが行われる。個人保証とは、会社が金融機関から融資を受ける場合に、経営者や家族、親族などの個人が債務返済の保証人となる制度だ。経営難に陥るなどしたとき、借入金の返済に追い詰められ自殺するといった事例も起こっている。個人保証の問題は起業を考える人にとっても大きな足かせとなっており、経済の活性化を妨げる遠因という指摘もある。改正案では原則として個人保証は禁止としているが、例外を設けながら調整していく方針だ。明治時代以来約120年ぶりの民法改正に注目が集まる。(編集担当:久保田雄城)