高齢化の進展で増加する認知症には全部で70種類ほどもあるが、その中で、アルツハイマー型認知症、血管性認知症とレビー小体型認知症の3つは三大認知症と呼ばれる。推定患者数は、現在50~60万人程度であるが、今後増加する可能性がある。
今までレビー小体型認知症タイプの認知症に効果のある薬剤は存在していない。今回、エーザイ<4523>は、アルツハイマー型認知症の治療薬として使用されている「アリセプト」が、レビー小体型認知症にも効能・効果があることの承認を取得したと2014年9月19日に発表した。これにより、「アリセプト」はレビー小体型認知症に対して効能・効果を有する世界で初めての薬剤となった。
レビー小体型認知症は、横浜市立大学の小阪憲司名誉教授が発見した疾患。認知症全体の約15%を占め、アルツハイマー型の約50%に次いで多い。
レビー小体型認知症は、認知症であることから記憶障害や理解力・判断力が低下するが、初期から中期の段階では、認知症に特有の記憶障害はあまり目立たず、幻視や意識の変容・パーキンソン症状・レム睡眠行動障害・抑うつ・失神などの症状が出る。そのため、認知症と気づかれにくいといった課題がある。また、薬に対して過敏に反応しやすいので、副作用がすぐに出やすいことも大きな特徴の病気である。アルツハイマー病とは異なって、不適切な投薬・投与量で病状が悪化することがある。その上、レビー小体型認知症に効能を有する薬剤がなく、医療現場で新たな治療法へのニーズが高まっていた。
同社は、今回のレビー小体型認知症に関する効能・効果追加を機に、同疾患の診断・治療・ケアに対する情報提供を徹底し、レビー小体型認知症の患者様のQOL向上への貢献を果たすとしている。
認知症の薬剤は、いずれのタイプの場合も発症を遅らせる効果の薬剤しかないので、早期に適切な診断で適切な薬剤の投与が必要であることから、医師の診断を受ける前の周囲の家族が異変に気が付くことが重要とされている。レビー小体型認知症に関しては、その薬剤さえはっきり効能が認められた薬剤がなかっただけに大きな一歩である。 (編集担当:阪木朱玲)