どうなる?薬のネット通販 改正薬事法いよいよ施行

2014年06月13日 12:46

サプリ

改正薬事法では現在約1万1千品目ある市販薬のほとんどがネット通販OKとなり、逆に医師の処方箋に基づいて提供される処方薬については通販禁止が明文化された

 いよいよ改正薬事法が施行された。2008年に厚労省が一般用医薬品(第3類を除く)のインターネット通販を禁止したが、その後ケンコーコム<3325>が国を提訴し「通販禁止は違法」との判決を勝ち取るなど、この数年間迷走し続けた薬のネット通販が一つの大きな節目を迎えることになる。

 改正薬事法では現在約1万1千品目ある市販薬のほとんどがネット通販OKとなり、逆に医師の処方箋に基づいて提供される処方薬については通販禁止が明文化された。また、スイッチOTC医薬品と呼ばれる処方薬から市販薬に転換されたばかりの医薬品についても、ネット通販は禁止となる。

 これまで市販薬は、消費者に対する情報提供の必要度によって第1類から第3類までの3段階に分けられていた。そして今回新たに、ネット通販を禁止した「要指導医薬品」という分類が加わる。この要指導医薬品には25の品目が指定されており、前述したスイッチOTC医薬品もこのカテゴリーに入ることとなる。
 
 改正薬事法における最大の特徴は、第1類市販薬のネット通販の方法が明記された点だろう。第1類市販薬には「1往復半ルール」が適用される。これは、販売者(薬剤師)と消費者の間に、症状や現在使用している薬、既往歴などの個人情報、購入しようとしている医薬品の情報等をしっかりやり取りするというステップを踏まなければ、ネット通販を行えないことを意味している。

 薬剤師がパソコン前に常駐していない限り、リアルタイムにこのやりとりを行うのは難しいため、第1類のネット通販に関しては改正前よりも購入に手間が掛かることになる。これまで薬のネット通販に意欲的であった販売業者も、改正薬事法の公布があって以降、第1類市販薬については及び腰となっている。薬剤師を24時間体制で確保しているのは今のところケンコーコムだけだ。

 ケンコーコムは、「処方薬から市販薬へと転換された時点で安全性は確認されているはず」としてスイッチOTC医薬品についてもネット通販を解禁するよう、新たに訴訟を起こしている。消費者の利便性と安全性を同時に確保しなければならないため、国は難しい対応を迫られそうだ。(編集担当:久保田雄城)