維新・結い新党名は『維新の党』 野党再編でアンチ安倍層の声は拾えるか

2014年09月23日 17:48

 9月中の新党結成に向け、合流の最終調整を進めている日本維新の会と結いの党。しかし、何と新党の名称を巡って、すでに意見の食い違いが起きてしまった。合流後の新党の名称については日本維新の会側から、「維新」の字を残したいと提案があり、当初結いの党側もそれに合意していた。しかし、その後提案されるのが『日本維新の党』など、現行とほとんど変わらない党名ばかりだったことに、結いの党が「イメージの刷新にならないではないか」と反発したようだ。ひとまず新党名は『維新の党』に落ち着いたものの、合流前から名称を巡って分裂を匂わす空気まで流れた。船出からこれでは先が思いやられると思う方がほとんどではないだろうか。

 そもそも、日本維新の会と結いの党の新党合流の目的は野党再編にある。それならばこの先、より主張や政策の違う党とも折り合いを付け、美しく手を取り合うとまでは行かなくとも、泥臭く共同戦線を結ぶ覚悟が必要だ。それなのにこんなところで躓いていたのでは、それこそ笑うのは安倍首相と自民党だけだろう。

 その自民党は第2次安倍改造内閣を発足し、盤石の体制を敷いている。経済立て直しや中韓に対する強硬な姿勢を評価する人も多く、今のところ支持の急落は無さそうな雰囲気だ。一方で安倍政権の経済偏重、右傾化に懸念を抱き、不満を抱えている層も多くいると思われるが、そうした層の支持を集める母体がないのが現状だろう。逆に言えば安倍政権に不満を持つ層、特に低所得者や若年層の支持を集められる野党勢力が出てくれば、大きく政権は揺らぐことになる。そのための野党再編が急がれるが、残念ながら、冒頭の日本維新の会と結いの党のように小規模な諍いが続くようでは、国民の支持を集めるのは難しいだろう。
 
 民主党政権は確かに失敗した。けれど、だからと言って現在みんなが自民党政権を支持しているわけではない。反安倍政権の声を拾い上げる勢力が現れ、与党と拮抗しなくてはやりたい放題の状態になってしまう。日本は戦後70年ほとんどの期間、自民党が経済と成長に最大価値を置くことで、盤石な地盤を持ってきた国だ。しかし、高齢化社会や人口減少などを考えても、そのやり方では通用しないことがどんどん出てきている。若年層を中心に成長ではなく共生に価値基準を見出している人も多い。そうした声は、選挙を待たずに一刻も早く拾われるべきだろう。

 次の選挙は、このまま行けば2016年夏の衆参ダブル選挙だ。衆参ダブル選挙で自民党が再び大勝すれば、おそらく目先は良くても、長い目で見れば日本の国力は取り返しがつかないほど大幅に落ちるだろう。選挙前になってバタバタと野党再編を進めても、国民は信用しない。今からはっきりと意志と覚悟を持った野党再編の動きを見せてほしい。(編集担当:久保田雄城)