大阪都構想が再び始動した理由とは何か

2014年09月14日 16:08

画像・大阪都構想が再び始動した理由とは何か

大阪都構想がまた動き出す。9月2日、大阪の法定協議会から提出された大阪都構想の協定書案について、新藤総務大臣は、内容に法令上の問題がないとした意見書を法定協議会の浅田会長に渡した。さらに、地元の議会で対立が続くため、関係者間の議論を促す助言書も同時に渡した。

 大阪都構想がまた動き出す。9月2日、大阪の法定協議会から提出された大阪都構想の協定書案について、新藤総務大臣は、内容に法令上の問題がないとした意見書を法定協議会の浅田会長に渡した。さらに、地元の議会で対立が続くため、関係者間の議論を促す助言書も同時に渡した。

 これにより、大阪市を5特別区(北区、湾岸区、東区、南区、中央区)に再編し、府と統合するとした内容の協定書案が公式に協定書となった。法定協議会は今後、大阪府議会、市議会に協定書を提出し、それぞれの議会で議論され、市民の住民投票に必要な議決を得るという流れになる。

 大阪都構想をおさらいしておこう。大阪府と大阪市がそれぞれに実施してきた事業や公共施設の経営を一本化し、無駄な「二重行政」を解消する。そのために、現在の区役所を東京都の23区のような特別区に統合し、区長を公選化し、区長が区を経営することを可能にする。そして、組織を一本化し、素早い意思決定を進めること。地下鉄・上下水道の民営化によって無駄が減るというものだ。

 協定書案を提出するまでにも、紛糾があった。大阪府と大阪市は、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づき法定協議会を設置し、大阪市域内での特別区の設置に向けた特別区設置協定書の作成、及び特別区の設置に関し必要な協議を行ってきた。17回の議論を踏まえ、その結果取りまとめられた協定書案を総務省に提出したわけだが、この過程で、法定協議会の委員とその数をめぐって野党(自民党、公明党など)との間で紛糾するなどの混乱もあった。

 都構想の実現には府市の両議会での協定書議案の承認、つまり過半数での可決と、大阪市民対象の住民投票での賛成多数が必要となる。今後、議会で議論、議決が行われる予定だが、維新の会は過半数を持たないため可決は難しいとされている。もし議会で野党が議論に応じなかったりした場合、首長による専決処分の可能性もある模様だ。かなりの政治的な動きとなるだろう。

 しかし、政治的な動きや「政治ショー」に目を奪われるべきではない。自治体改革の先端的テーマが詰まっている今回のケースは、議会での議論の内容を注目すべきだろう。議員がどういった論理で意見を出すのかを住民はウオッチしよう、来年の統一地方選のためにも。(編集担当:久保田雄城)