大手自動車メーカーである三菱自動車<7211>は、イタリアの大手自動車メーカーのフィアットと自社の次期小型ピックアップトラックをベースとしたフィアット向けの車両開発・生産に関する覚書を締結させたとの発表を、19日に行った。三菱自動車はタイにて生産を行っている次期小型ピックアップトラックをフィアット向けにOEM(相手のブランド名による生産)供給し、供給は2016年1~3月ごろに開始される予定。6年間で15~17万台を供給する計画だ。三菱自動車はこうしてフィアットと連携することで、販売・生産の面で落ち込みをみせているタイ工場の維持につなげたい考えだ。
今回の覚書締結によりフィアットに供給される次期小型ピックアップトラックは、「スポーツ・ユーティリティ・トラック(SUT)」の「トライトイン」をベースとしたもので、こちらは05年に販売が開始された。その後、日本でも06年から11年夏にかけて販売されており、グローバル戦略車との位置付けがなされているこちらの車種は、今もアメリカや日本を除く約140ヶ国で販売されている。フィアットにOEM供給される車種についても、この「トライトン」と同じく海外市場に向けて展開されるとみられている。
三菱自動車のタイ工場は政治情勢の不安定化や自動車需要の低下に伴い、4~7月の生産台数は前年同期よりも11.4%ダウンの9万3000台に落ち込んでおり、こうした販売・生産減に対応するため、今回のフィアットとの連携がはかられたものとみられている。
またフィアットとしても、三菱自動車と連携をはかることで商用車の車種を増やし、中南米市場でのシェアを拡大させ、不振が続くヨーロッパ、中東、アフリカ市場での業績の改善につなげたい考えがある。
16年1~3月ごろより三菱自動車はフィアット向けにOEM供給を開始し、6年間での供給台数は15~17万台を予定している。年内にもタイ工場にて生産が開始される見通しだ。また供給された車両はフィアットブランドとして発売される。(編集担当:滝川幸平)