TPP譲歩案提示へ 守るべきは関税ではなく「安全基準」

2014年09月27日 21:24

 賛成と反対に国民を二分した環太平洋連携協定(TPP)問題に決着が見えるのだろうか。9月23日午後(日本時間24日)、難航してきたTPP交渉をめぐる日米の閣僚協議がワシントンで始まった。協議に参加するため米国に渡った甘利明経済再生担当大臣は安倍内閣で以前よりTPP担当国務大臣も務めており、これまでも交渉を重ねてきた米国通商代表部フロマン代表と改めて協議を進めている。

 今回の協議に向けて日本側は譲歩案を提示し決着を目指す考えだが、米国側に歩み寄りが見られるかは不透明だ。すでに協議には暗雲が立ち込めている。19日、フロマン通商代表はワシントンで講演を行った。講演の中で同氏は「TPPが成功するには、野心的で高い水準の合意でなければならない」「大胆な発想で具体的な進展につなげるべきときだ」と述べ、安倍内閣に高い水準での自由化を要求した。

 4時間にもわたった初日の協議を終えた甘利氏は「お互いに譲れない一線がどこにあるかが絞られてきた」と述べたが、私たちが注意しなければならないのはその「譲れない一線」を甘利氏がどのように考えているかだ。甘利氏は協議への出発前に「政治的に整理しなければならない問題」として農産物5項目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖などの甘味資源作物)の関税の取り扱いなどを挙げた。TPP交渉が始まった当初からこの農産物5項目をはじめとした関税の問題が報道でも中心的に取り上げられてきたが、本当に議論しなければならない問題は他にある。それが「安全基準」だ。

 今、TPP交渉を憲法違反だとして交渉の差し止めと違憲確認を求める訴訟が起こされつつある。この動きの中心となっているのは山田正彦元農林水産大臣をはじめとした有志の弁護士だ。この訴訟を目指す動きで関税に加えて問題視されているのが、食品や自動車の安全基準だ。TPP交渉では遺伝子組み換え作物の認可増加や米国車の安全審査の省略について話し合われている。しかし、その内容はほとんど公開されていない。

 関税を守ることも重要だが生活に直結する安全基準が米国をはじめとした他国の圧力で自由化されてしまえば取り返しがつかないことになる。安倍内閣には関税よりもまずは安全基準を守るため交渉を重ねてもらいたい。(編集担当:久保田雄城)