9月19日、米アップル社の新型スマートフォン「iPhone6」と「iPhone6 Plus」が発売され、大きな話題をよんだ。従来のiPhoneシリーズ同様、同機器を構成する1000点にものぼる部品の約半数を日本メーカーが供給していることもあり、日本の株式市場ではスマートフォン関連株に注目が集まった。
詳しい人たちの間では、iPhoneは日本製のスマートフォンと揶揄されるほど、日本メーカーの部品が使われているのは周知の事実だが、今回の新機種発売のニュースなどを機に、その事実を知った人も多いのではないだろうか。そもそも、スマートフォンのあの小さな形状の中に1000点もの部品が使われていること自体に驚いた人も多いだろう。しかし、どうしてそんなに多くの部品が必要なのだろうか。
スマートフォンに限らず、電子機器と呼ばれるものには多くの部品が使われている。それらの部品は、ただ単に機能を動かすためだけのものではない。例えばツェナーダイオードという部品があるが、これは一時的に規定外の大きな電流が回路に流れた場合に電子機器が壊れるのを防いだり、供給される電圧を一定に保つために使用される保護用の半導体部品だ。スマートフォンや各種ポータブル機器のほか、電装化が進む車載部品にも多く用いられている。このように、便利な機能を動かすだけでなく、それを安全に使うためには数多くの部品が必要なのだ。
ちなみに、日本メーカーではローム<6963>がこのツェナーダイオードの開発に長けており、スマートフォンや各種ポータブル機器の電源などに搭載される低電圧帯の製品で豊富なラインアップを揃えているが、この9月にはさらに高いサージ耐性も確保し、電装化が進む自動車のECU(エンジンコントロールユニット)保護に最適な高電圧タイプのツェナーダイオード「UDZLV シリーズ」を新たに発表し、ラインアップを充実させている。
スマートフォンや自動車を始めとする部品が寄与する製品において、表面的な機能や性能についてばかりが話題になることが多いが、それらを支えている部品とそれを作り出している日本のものづくりの技術があることを忘れてはならない。1000個もの部品からなるスマートフォンは、文字通り技術の結晶でもあるのだ。(編集担当:藤原伊織)