有給休暇 取得できる職場環境 経営側に義務付けを

2014年10月04日 12:02

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厚生労働省は「過労死等防止対策推進法」の実効をあげるため「長時間労働を許さない」と塩崎恭久厚生労働大臣を本部長に「長時間労働削減推進本部」を3日までに立ち上げた

 厚生労働省は「過労死等防止対策推進法」の実効をあげるため「長時間労働を許さない」と塩崎恭久厚生労働大臣を本部長に「長時間労働削減推進本部」を3日までに立ち上げた。省あげて強化、推進を図るとアピールする。

 推進本部の下に「過重労働などの撲滅チーム」と「働き方改革・休暇取得促進チーム」が設けられた。推進チームは労働基準局や労働基準監督署の若手職員で構成している。

 厚生労働省は過労死などに関係した労災請求が発生した事業所などを重点的に監督し、法違反に是正のない事業所は送検も視野に対応する。送検時に企業名を公表するとしている。

 また9月に開設した「労働条件相談ホットライン」で平日の夜間・休日に無料の電話相談を行っているが、ホットラインの周知を図り、利用促進を図る。11月1日には「過重労働解消相談ダイヤル」を開設し、無料相談にあたるとともにホットラインや相談ダイヤルで得た情報を「重点監督実施に生かす」。

 これに先駆け、厚生労働省は今月中に長時間労働を抑制する要請を労使団体に行うことにしている。10月、11月の活動結果や過重労働撲滅チームの提言を踏まえ、来年度以降の取り組みに反映させる。

 こうした取り組みに合わせて必要なのは労使の『意識改革』だろう。有給休暇の取得促進には意識改革から始める必要がある。管理職を含め社員全員が職場仲間に気兼ねなく堂々と有給休暇が取れる職場環境をつくるよう経営者側に義務付けることが必要だ。

 職場仲間への遠慮から有給休暇が申し出しにくい部分が有給休暇利用率の低さにつながっている。経済が長期低迷状態にあったため従業員は必要最小限に抑え込まれた。このため、従来の3人分の仕事量を2人でこなさなければならないような状況も中小企業では続いてきた。

 こうした中で、有給休暇を申し出るのは難しい。同じ事業所に6年半以上就労すれば年間20日の有給休暇は当然取得できるが、有給休暇を取っている間をカバーしてもらえる従業員がいなければ、結局、自身がその分をどこかでこなすか、職場仲間に負担をかけることになる。中小企業ではポストが上がれば上がるほど代替を頼める人材がいないなど、有給休暇を取る余裕もなく、取得を諦めざるを得なくなる実態もある。有給を頻繁にとることで、主要ポストに就けなくなるリスクも発生する。

 こうした問題を解消するには管理職も含め、従業員に有給休暇を取らせることを企業に法的に義務付け、企業が従業員の希望を聴き、一定日数、休ませることが必要だ。

 厚生労働省が「企業に対して社員に有給休暇の消化を義務付ける検討に入った」との報道も一部である。2016年春の施行を目指すとしているので、是非、実現を期待したい。

 検討段階なので提案したいのだが、年20日有給休暇を取得できる社員に対しては、10日以上は強制的に取得させることとする。また未消化分(10日以内)を金銭換算して企業側が買い取るようなことは禁止する。買い取りを行う企業があるが、こうした対応はかえって有給休暇利用率を低下させる原因になる。20日あれば20日取れるような環境づくりこそ必要だ。

 厚生労働省の検討では罰則規定を設け、有給休暇の未消化社員の多い事業所に対して罰則も考えるようだが罰則の適用も効果的かもしれない。事業所名の公表も人材確保に影響するだけに効果が期待できよう。(編集担当:森高龍二)