退職を決意する理由はさまざまであるが、その理由の一つに残業時間が大きく関与していることが株式会社ヴォ―カースの調べで明らかになった。
現職者と退職者の月平均残業時間を比較したところ、現職者が45時間なのに対し退職者は51時間と平均6時間多かった。月間残業時間が「150時間以上」を超えたのは、現職者36.18%に対して退職者は63.82%。「100~150時間未満」では、現職者39.63%、退職者60.37%。「50~100時間未満」では、現職者48.8%、退職者51.19%。「10~50時間未満」では現職者53.17%、退職者46.83%。全体的に残業時間が多いほど退職者が増える傾向にあるが、とくに100時間を超えた点から顕著になっていることがわかる。
現職先または離職先に対する企業評価の平均値は、現職者では「法令順守意識」が最も高く3.59ポイント。ついで、「20代成長環境」が3.43ポイント。「風通しの良さ」が3.23ポイント。「社員の相互尊重」が3.14ポイント、「社員の士気」が2.95ポイント、「待遇面の満足度」が2.94ポイント、「人事評価の適正感」が2.92ポイント、「人材の長期育成」が2.57ポイント。一方退職者では、「20代成長環境」が最も高く3.31ポイント。ついで、「法令順守意識」が3.31ポイント。「社員の相互尊重」が3.13ポイント、「風通しの良さ」が3.12ポイント。「社員の士気」が3.01ポイント、「待遇面の満足度」が2.90ポイント、「人事評価の適正感」が2.97ポイント、「人材の長期育成」が2.48ポイント。
ほとんどの項目に関して、退職者よりも現職者が高いポイントで評価した。とくに法令順守意識に関し現職者は高く評価している。一方退職者は、現職者よりも退職先の会社の「20代成長環境」をわずかに高く評価している。現職者は法令順守等の企業の成熟度を評価する一方で、退職者は成長環境など企業の伸び率に目を向ける傾向があるといえるかもしれない。
退職を決意する要因は残業時間だけではなく企業の体質などにもありそうであるが、残業時間が月100時間(20日勤務の場合1日あたり5時間の残業)を超えたあたりから、直接的に影響が出るのかもしれない。
ちなみに、退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング」は、1位が「グーグル株式会社(4.30ポイント)」であった。2位は「P&G(4.10ポイント)」3位は「旭化成株式会社(4.07ポイント)」。以下、「株式会社ソニー・ミュージックエンタテイメント(3.98ポイント)」「住友商事株式会社(3.92ポイント)」「株式会社リクルートホールディングス(3.88ポイント)」「株式会社ステップ(学習塾)(3.87ポイント)」。対象データは、2007年7月~2014年9月に社員・元社員から投稿されたレポート回答(全56,999件)から得られたもの。(編集担当:堺不二子)