再生可能エネルギー買い取り中断がエコ住宅にも余波

2014年10月26日 14:34

画・再生可能エネルギー買い取り中断がエコ住宅にも余波

固定価格で買い取られる再生可能エネルギー電力が、送電設備の許容範囲を超えたため電力会社によりストップがかけられた。太陽光発電による電力買い取りを計画に住宅ローンを組んだ人にも影響が出る可能性が出てきた。

 北海道電力<9509>、東北電力<9506>、四国電力<9507>、九州電力<9508>、沖縄電力<9511>の5社が再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)に基づく発電電力の新規受け入れを中止すると発表してから、様々な混乱が生じている。急速に進んだ太陽光発電事業に送電設備が間に合わないため、電力供給にも支障をきたす可能性があるという。太陽光は出力が変動しやすく、送電設備がパンクしないように変動幅を制御する技術が必要となり、設備の増強のためには新たに工事を行わなくてはならない。

 東北電力では50キロワットを境目に受け入れ可能か否かを検討しているが、北海道電力や九州電力では10キロワットを超えた場合受け入れを保留するとしている。通常、一般家庭の住宅に設置される太陽光発電は小規模なものであるため、10キロワット以下となるケースがほとんどで個人への影響は少ない。

 しかし、雨が少なく日照時間が長い九州では、安定した太陽光発電が見込めることから大型パネルを取り付ける「エコ住宅」が人気だ。住宅生産団体連合会の調べによると、10キロワット以上発電することができるエコ住宅は九州で約1,200件も契約があり、電力買い取りが中止となれば、住宅ローンの返済計画にも影響を与えてしまう。当初と約束が違うということで、住宅の引き渡しに応じない施主もいるという。

 九州電力は説明会で「受け入れ中止は個人や事業者も同様に電力量で検討する」と示したが、多数の批判が寄せられたため、10月21日、買い取りを一部再開すると見直した。対象となるのは9月24日までの申し込みで、50キロワット未満の個人宅向け太陽光発電など。受け入れ件数は九州全体で1万1,129件となる。

 しかし新規契約は当面の間中断となる見通しで、エコ住宅購入による負担を軽減するためにも政府には何らかの対策が求められる。経済産業省は各電力会社に対して、買い取りの余地や送電設備の状況などを詳しく検証するとともに、有識者会議にて議論を深め、具体的な対応策を年内中にまとめていくとした。エネルギー資源に乏しい日本で、再生可能エネルギー発電を順調に普及させていくことは重要な課題だ。ようやく軌道に乗り始めたと思った太陽光発電だが、思わぬところに暗礁があったようだ。(編集担当:久保田雄城)