【今週の振返り】759円上昇して前週下落分に9円足りないだけ

2014年10月25日 20:14

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疫病、テロに政治家の発言。先物売りにワン・ツーパンチされ、3歩進んで2歩さがる。それでもここまで前進できた週。

 前週末17日のNYダウは263ドル高と7日ぶりに大幅反発。NASDAQ総合指数は41ポイント上昇した。ECB(欧州中央銀行)のクーレ専務理事が「数日以内に資産買い入れを開始する」と発言してヨーロッパ市場が上昇し株安の地球周回にストップをかけた上に、消費者景況感指数は2007年7月以来の高水準で住宅着工件数も市場予測を上回るなど経済指標もポジティブ。企業決算も好調。景気減速不安が遠のき全面高になった。20日朝方の為替レートは、ドル円が107円台前半、ユーロ円が136円台後半で、前週末から円安が進行した。

 GPIFが運用ポートフォリオに占める国内株式のシェアを12%から20%台半ばに引き上げる最終調整に入ったという報道があり、日経平均は290.33円高の14822.84円と大幅反発で始まる。TOPIXは1200台を回復。取引開始直後、ポンと跳ねて14900円台に乗せ、TOPIXは1210にタッチする。「小渕優子経済産業大臣が安倍首相に辞表を提出」という第一報が流れたためで、第二次安倍内閣初の閣僚の引責辞任。

 9時7分に17日時点で14916円の5日移動平均線を超え14938円の高値を取る。日経平均は14900円台、TOPIXは1210台で安定し、9時台後半から高値を取りながら徐々に値を上げ、10時15分に「心理的な節目」でもある15000円を3日ぶりに突破した。大台に乗せた後は10時20分に15044円の高値を取り、その後は一時的に割り込んでもおおむね大台超えの水準で推移する。TOPIXは一時1220にタッチした。上海も香港もプラスで始まり、台湾も韓国も上昇してアジア市場は全面高。15000円を少しだけ超えながら前場は終了し、前引けは15018円だった。

 昼休みに「松島みどり法務大臣が辞任の意向」の報道が流れると、後場は前日比で500円高を超えこの日の高値を取って再開。安倍内閣の女性閣僚が相次いで辞任した。海外投資家の「セリング・クライマックス」も前週で峠を越し需給が改善したようで、小刻みに高値を取りながら上昇する。午後1時42分には15100円を突破し15102円をつけた。2時5分に15110円のピークをつけ、その後も15000円台を維持。為替レートも朝から徐々に円安の方向でサポート。終盤に再び上昇して大引けで15110円を突破。終値は578.72円高の15111.23円の高値引けで3日ぶりに急反発した。3.98%上昇して578.72円高は今年最大。日中値幅は上昇一方の292円。TOPIXも今年最大の4.0%上昇で+47.12の1224.34で終えた。売買高は23億株、売買代金は2兆3186億円と活発な商いが続く。

 全業種がプラス。上位は情報・通信、機械、輸送用機器、建設、電気機器、精密機器など。下位は鉱業、繊維、海運、水産・農林、石油・石炭、倉庫などだった。

 週明け20日のNYダウは取引開始早々に119ドル安まで下落する場面があったが、ピークを迎えた企業決算への期待で徐々に戻し終盤プラスに浮上して終値19ドル高で3日続伸。NASDAQは57ポイント上昇。21日朝方の為替レートはドル円が107円近辺、ユーロ円が136円台後半で、前日よりもややドル安円高に振れていた。

 日経平均は4.06円高の15115.29円で始まるが、プラスは15秒間だけでアッという間に15100円割れ。しかしTOPIXはプラスを維持。序盤は日経平均は15000円の大台を堅持しながら小幅マイナスでTOPIXはプラスという「NTねじれ現象」。日経平均は午前9時25分に15020円まで下げるがV字回復。しかし始値=高値の「寄り天」の壁を超えられず15090円手前で折り返し再び大きく下落。10時9分には15000円の大台も割り込み14995円の安値をつける。11時にまとめて発表される中国の経済指標への不安心理に支配され、神経過敏で先物の値動きが不安定だった。その中国市場は上海市場はマイナス、香港市場はプラスで始まった。

 日経平均がおおむね15000~15050円のレンジで落ち着いたところで中国の4つの経済指標が発表された。7~9月期のGDPは前年同期比7.3%増で市場予測より上。9月の鉱工業生産指数は8.0%増で市場予測を上回った。9月の小売売上高は11.6%増で市場予測を下回った。1~9月の都市部固定資産投資は16.1%増で市場予測をわずかに下回った。市場予測から大きく外れるサプライズはなく無難に通過。15000~15050円の範囲の値動きがなお続き、前場終了直前に15000円を割り込むものの前引けは15001円だった。

 しかし、昼休みに為替のドル円が106円台半ばまで円高方向に振れ、後場は15000円を大きく割り込んで再開する。14900円も守りきれず午後0時45分に14876円まで下げる。GPIFが国内株式の運用比率を20%台半ばに高めるという18日の報道について塩崎厚生労働大臣が「全く知らない」とコメント。これが先物売り勢力の格好の餌食になる。いったん14900円台を回復しながら、1時台後半に再び下落して一時14800円を割り込み、2時台はさらに下落して2時4分に14761円の安値をつけた。終盤は14800円をはさんでの小動き。終値は306.95円安の14804.28円で大幅反落した。日中値幅は354円と大きい。TOPIXは-18.98の1205.36。売買高は22億株。売買代金は2兆412億円で、2兆円超えは10日続いていた。

 全業種がマイナスで、下落幅が小さいのは水産・農林、空運、ゴム製品、電気・ガス、その他製品、金属製品など。大きいのは機械、パルプ・紙、鉱業、非鉄金属、精密機器、倉庫などだった。