【日経平均】今年最大578円の超・全面高で15100円台回復

2014年10月20日 20:12

 前週末17日のNYダウは263ドル高と7日ぶりに大幅反発。NASDAQ総合指数は41ポイント上昇した。ECB(欧州中央銀行)のクーレ専務理事が「数日以内に資産買い入れを開始する」と発言してヨーロッパ市場が上昇し株安の地球周回にストップをかけた上に、消費者景況感指数は2007年7月以来の高水準で住宅着工件数も市場予測を上回るなど経済指標もポジティブ。モルガンスタンレー、GEの決算も市場予測を上回って好調。景気減速不安が遠のき全面高になった。モルガンスタンレーは2.1%、GEは2.6%、アップルは1.5%上昇。エネルギー関連もシェブロン、エクソンモービルとも0.7%上昇し回復をみせた。20日朝方の為替レートは、ドル円が107円台前半、ユーロ円が136円台後半で、前週末から円安が進行した。

 CME先物清算値は14880円。政府が10月の月例経済報告で景気判断を引き下げる一方、GPIFが運用ポートフォリオに占める国内株式のシェアを12%から20%台半ばに引き上げる最終調整に入って10月下旬にも決まるという報道もあり、期待半分、不安半分の今週の日経平均は290.33円高の14822.84円と大幅反発で始まる。TOPIXは1200台を回復。取引開始直後、ポンと跳ねて14900円台に乗せ、TOPIXは1210にタッチする。「小渕優子経済産業大臣が安倍首相に辞表を提出」という第一報が流れたためで、第二次安倍内閣初の閣僚の引責辞任。女性閣僚ではもう一人、松島みどり法務大臣の「うちわ配布問題」も取り沙汰されていた。

 9時7分に17日時点で14916円の5日移動平均線を超え14938円の高値を取る。日経平均は14900円台、TOPIXは1210台で安定し、9時台後半から高値を取りながら徐々に値を上げ、10時15分に「心理的な節目」でもある15000円を3日ぶりに突破した。大台に乗せた後は10時20分に15044円の高値を取り、その後は一時的に割り込んでもおおむね大台超えの水準で推移する。TOPIXは一時1220にタッチした。上海も香港もプラスで始まり、台湾も韓国も上昇してアジア市場は全面高。15000円を少しだけ超えながら前場は終了し、前引けは15018円だった。

 昼休みに「松島法務大臣が辞任の意向」という報道が流れると、後場は前日比で500円高を超えこの日の高値を取って再開。安倍内閣が推進する女性活用の象徴ともいえる女性閣僚が相次いで辞任しても、野党が「首相の任命責任」を追及しても、問題発生後すぐにカタがつけばマーケットは政権に対する安心感を持つ。悪影響が出るのは、あれこれ言い訳しながらズルズル先延ばしにして報道ラッシュがおさまらず余計な話まで掘り出される時で、企業の危機管理も同じだ。海外投資家の「セリング・クライマックス」もどうやら前週で峠を越し需給が改善したようで、小刻みに高値を取りながら上昇する。午後1時42分には15100円を突破し15102円をつけた。

 2時に日銀から地域経済報告「さくらレポート」、内閣府から8月の景気動向指数の改訂値が発表された。一致指数は速報値の108.5より低い108.3で前月比1.6ポイント減。先行指数は104.4で前月比1.1ポイント減だが速報値よりも減少幅は0.4ポイント縮小。続いて2時30分に9月の全国百貨店売上高が発表され、0.7%減で6ヵ月連続の前年割れだが東京地区に限ると0.5%増で2ヵ月連続プラス。地方百貨店のためにも「地方創生」は必要か? 日経平均は2時5分に15110円のピークをつけ、その後も15000円台をしっかり維持。為替レートも朝から徐々に円安の方向でそれをサポート。終盤に再び上昇して大引けで15110円を突破し、終値は578.72円高の15111.23円の高値引けで3日ぶりに急反発した。3.98%上昇して578.72円高は今年最大だが、2013年6月10日には636.67円高を記録しておりアベノミクス相場にも上には上がいる。日中値幅は上昇一方の292円。TOPIXも今年最大の4.0%上昇で+47.12の1224.34で終えた。売買高は23億株、売買代金は2兆3186億円と活発な商いが続く。

 東証1部の値上がり銘柄数は1802で全体の98%を占め、今年4月16日の1729を抜いて今年最多で、2013年7月の大証との現物株統合で銘柄数が増えたこともあり東証史上最多レコードを樹立。値下がり銘柄数はわずか21、値動きなしは10だった。33業種別騰落率は全業種1%を超えるプラスで16日の裏返しの「超・全面高」。プラスセクターの上位は情報・通信、機械、輸送用機器、建設、電気機器、精密機器など。下位は鉱業、繊維、海運、水産・農林、石油・石炭、倉庫などだった。

 日経平均採用225種は値上がり225銘柄、値下がり0銘柄、値動きなしも0銘柄の「パーフェクト」達成。プラス寄与度の1~4位は「日経平均寄与度四天王」が占め、合計で日経平均を151円押し上げた。順位は情報・通信セクターを業種別騰落率第1位に押し上げたソフトバンク<9984>が1位、同じくKDDI<9433>が4位。ファーストリテイリング<9983>が2位、ファナック<6954>が3位だった。

 三井住友FG<8316>は128円高、みずほ<8411>は6.4円高、三菱UFJ<8306>は19.4円高でメガバンク3行は3%を超える上昇をみせた。野村HD<8604>は20.9円高、大和証券G<8601>は23.6円高。ベンチャーキャピタルのジャフコ<8595>は朝方に4~9月中間期決算を発表し、上半期の投資先のIPOは前年同期の6銘柄を上回る8銘柄で、営業利益は94%増、純利益は2.3倍でともに過去最高になり315円高で値上がり率9位。通期見通しは公表していない。

 電気機器セクターの業種別騰落率は5位。ソニー<6758>は70円高、パナソニック<6752>は51円高、サイバー攻撃から社会インフラを守る暗号技術を開発したと報じられた日立<6501>は30.3円高、売買高7位の東芝<6502>は15.3円高、同8位のシャープ<6753>は12円高、OKI<6703>は12円高、富士通<6702>は32円高。NEC<6701>は4~9月中間期の営業利益が200億円前後で、4億円弱の前年同期のおよそ50倍という業績観測記事が出て21円高。企業だけでなく自治体も「マイナンバー」などのプロジェクトがありIT投資は旺盛で、2013年末で赤字のスマホ事業から撤退したのも貢献している。TDK<6762>はクレディスイスが目標株価を引き上げ290円高だった。

 三菱重工<7011>は18日に三菱航空機の旅客機「MRJ」(78~92人乗り)を初公開して期待を集め売買高14位で31.1円高。すでに日本、アメリカ、ミャンマーなどから407機の受注を獲得したという。鉄鋼セクターは、新日鐵住金<5401>は売買高4位で10.6円高、神戸製鋼<5406>は売買高11位で6円高。JFEHD<5411>は兼松<8020>と組んでアメリカで油井管の加工工場を新設すると報じられ40.5円高。兼松は6円高。電炉トップの東京製鉄<5423>は17日に4~9月中間期決算を発表。鉄スクラップ価格下落の効果、コストダウン努力が宇都宮工場の火災を乗り越えて営業利益は8.4倍。通期見通しを95億円から100億円に上方修正した。しかし市場予測の108億円に届かないため16円安で値下がり率10位。住友金属鉱山<5713>はザラ場中、車載用二次電池の正極材ニッケル酸リチウムの生産を増強すると発表して41.5円高と買われた。