週明け20日のNYダウは取引開始早々に119ドル安まで下落する場面があったが、ピークを迎えた企業決算への期待で徐々に戻し終盤プラスに浮上して終値19ドル高で3日続伸。NASDAQは57ポイント上昇。午前の軟調の主因は半導体事業譲渡による損失計上でEPSが3.68ドルになり市場予測に遠く及ばず減収減益になったIBMの決算で、終値は7.1%も下落しNYダウを83ドル押し下げ、1.0%下落したHPを道連れにした。しかしアップルは2.1%の上昇でNASDAQを押し上げた。前週は「エボラ出血熱患者が飛行機に乗っていた」という報道で売り一色だった航空株は、当該便の乗客、乗員や空港利用者の感染報告がなく買い戻され、デルタは4.8%、アメリカンは5.5%、UALは5.8%の大幅上昇。空気感染はしないという。21日朝方の為替レートはドル円が107円近辺、ユーロ円が136円台後半で、前日よりもややドル安円高に振れていた。
CME先物清算値は15115円。安倍内閣は辞任した2閣僚に代えて法務大臣に上川陽子氏、経済産業大臣に宮沢洋一氏を起用。宮沢氏は旧・大蔵省出身の財政再建派だがマーケットはどう反応するか? 日経平均は4.06円高の15115.29円とCME清算値にピタリさや寄せして始まるが、プラスは15秒間だけでアッという間に15100円割れ。しかしTOPIXはプラスを維持する。序盤は日経平均は15000円の大台を堅持しながら小幅マイナスでTOPIXはプラスという「NTねじれ現象」。午前9時20分すぎにTOPIXもマイナスになり日経平均は9時25分に15020円まで下げるが、V字回復して9時40分すぎにTOPIXは再びプラスに。しかし日経平均は始値=高値の「寄り天」の壁を超えられず15090円手前で折り返し再び大きく下落。10時9分には15000円の大台も割り込み14995円の安値をつける。上下動が激しくチャートはまるで「世界遺産・桂林の山」。11時にまとめて発表される中国の経済指標への「鬼が出るか蛇が出るか」という不安心理に支配され、神経過敏で先物の値動きが不安定だった。その中国市場は上海市場はマイナス、香港市場はプラスで始まった。
日経平均がおおむね15000~15050円のレンジで推移し落ち着いたところで11時、中国の4つの経済指標が発表された。7~9月期のGDPは前年同期比7.3%増で2009年以来の低水準で4~6月期の7.5%増を下回ったが、市場予測の7.2%増よりは上。それでも1~9月トータルの成長率は7.4%で、中国政府の目標の年間7.5%達成は厳しくなった。9月の鉱工業生産指数は8.0%増で8月の6.9%増も市場予測の7.5%増も上回った。9月の小売売上高は11.6%増で、8月の11.9%増も市場予測の11.7%増も下回った。1~9月の都市部固定資産投資は前年同期比16.1%増で、1~6月の17.3%増から減速し市場予測の16.2%をわずかに下回った。フタを開ければ市場予測から大きく外れるようなサプライズはなく無難に通過して日経平均は反応薄。15000~15050円の範囲の値動きがなお続き、前場終了直前に15000円を割り込むものの前引けは15001円だった。
しかし、昼休みに為替のドル円がいきなり106円台半ばまで円高方向に振れて、後場は15000円を大きく割り込んで再開する。14900円も守りきれず午後0時45分に14876円まで下げる。悪材料として考えられたのが、GPIFが国内株式の運用比率を20%台半ばに高めるという18日の報道について塩崎厚生労働大臣が「全く知らない」と冷たくコメントしたこと。これが中国の経済指標発表を通過して次の材料を探っていた先物売り勢力の格好の餌食になる。いったん14900円台を回復しながらも、1時台後半に再び下落して一時14800円を割り込み、2時台はさらに下落して2時4分に14761円の安値をつけた。
その間、1時30分に8月の全産業活動指数が発表され、0.1%減で7月の0.4%減、市場予測の0.4%減よりも良かった。2時に9月の全国スーパー売上高が発表され、既存店ベースでは前年同月比で1.0%減少し6ヵ月連続のマイナス。日経平均は14800円台を回復するが終盤は14800円をはさんでの小動き。終値は306.95円安の14804.28円で大幅反落した。前日は「売られすぎ」の17日からの自律反発にプラスアルファが乗ったが、この日は前場にそのプラスアルファ分がそぎ落とされ、後場さらに下落して自律反発分にも食い込んで前日の安値のすぐ下まで逆戻りしてしまった。プラスだった「寄り天」から下げたので日中値幅は354円と大きい。TOPIXは-18.98の1205.36。売買高は22億株。売買代金は2兆412億円で、2兆円超えはこれで10日続いている。
値上がり銘柄は209、値下がり銘柄は1574で全体の85%を占めた。全業種がマイナスで、下落幅が小さいのは水産・農林、空運、ゴム製品、電気・ガス、その他製品、金属製品など。大きいのは機械、パルプ・紙、鉱業、非鉄金属、精密機器、倉庫などだった。
日経平均採用225種は値上がりは4銘柄だけで、値下がりは220銘柄。プラス寄与度1位はSMBC日興証券が目標株価を引き上げたNTTデータ<9613>で+0.98円、2位は富士フイルムHD<4901>で+0.24円。3位は日本水産<1332>、4位はヤフー<4689>。マイナス寄与度1~3位は「日経平均寄与度御三家」揃い踏みで合計-86円。1位はファーストリテイリング<9983>、2位はファナック<6954>、3位はソフトバンク<9984>だった。
メガバンクは揃って前場堅調、後場軟調。みずほ<8411>は1.8円安、三菱UFJ<8306>は3.6円安、三井住友FG<8316>は36.5円安。野村HD<8604>は4.5円安。ノンバンクのアイフル<8515>が売買高7位で2円高と逆行高したのが目立っていた。自動車大手も後場総崩れ。トヨタ<7203>は97円安、ホンダ<7267>は52円安、富士重工<7270>は96円安、日産<7201>は20.8円安、マツダ<7261>は36円安。ブリヂストン<5108>は売買代金11位に入り1円安と健闘。タカタ<7312>はエアバッグの不具合でアメリカでトヨタ車24.7万台のリコールが新たに発生しストップ安の500円安で年初来安値を更新し値下がり率1位。タカタ製エアバックが原因のリコール台数は全部で450万台にのぼり深刻な事態。