【日経平均】200日移動平均線の壁を破り391円高大幅反発

2014年10月22日 20:14

 21日のNYダウは215ドルの大幅高で3日続伸。6ドル高で始まりザラ場中にどんどん値を上げた。NASDAQは103ポイントも上昇し4日続伸。ECBが債券市場で社債の買い入れを始める可能性ありという報道が欧米の株式市場を刺激した。ヨーロッパ企業はリーマンショック直後の2009年に空前の規模の社債発行を行っており、デットファイナンス対策は金融機関の貸出余力を高めヨーロッパ経済によく効く。アメリカの中古住宅販売件数は市場予測を大きく上回り前月比2.4%増で1年ぶりの高水準。アップルは好決算が評価され2.7%上昇、テキサス・インスツルメントも同様で5.3%上昇。ベライゾンも増益決算を発表し0.4%上昇したが、通期利益目標を引き下げたコカ・コーラは6.0%の大幅下落。マクドナルドは減益決算で0.6%下落した。JPモルガンはEUから7220万ユーロ(98億円)の制裁金を科されても2.3%上昇。22日朝方の為替レートはドル円は107円近辺、ユーロ円は136円近辺で、ECBの追加緩和の話でユーロが安くなっていた。

 CME先物清算値は15080円。取引時間前発表の9月の貿易統計は貿易赤字9583億円で27ヵ月連続赤字。市場予測の7600億円を大きく上回ったが為替レートはわずかに円安になっただけだった。4~9月累計の貿易赤字は5兆円を超え年度上半期で過去最高。外部環境が改善し、改めて前週の大幅安からのリバウンド出直しの日経平均は233.91円高の15038.19円と大幅高で始まる。前日後場の下落分をそっくり取り戻し15000円の大台回復。TOPIXも大幅上昇でスタートした。順調に数分で日経平均は15100円、TOPIXは1230にタッチするが、9時台はその近辺の水準でもみあい。前日は15097円の200日移動平均線が今週はレジスタンスラインになっておりなかなか上値を追えない。為替のドル円は107円を割り込み、10時台は徐々に値を下げていき始値も下回り10時38分に15001円の安値をつける。しかし先物は大台を割り込んでも現物指数は踏みとどまった。上海市場はマイナス、香港市場はプラスで始まる。11時台には15050円を上回るようになり前引けは15057円だった。

 後場は8円下げただけで再開。徐々に値を上げ、午後1時台後半になると15100円に再びタッチ。2時を回ると200日移動平均線の抵抗を排除して2時16分に15185円まで上昇。為替のドル円も107円台に戻っていた。終盤になると再び高値を取りながら値を切り上げ、大引け寸前に15195.78円の高値をつけるが終値は391.49円高の15195.77円と、大幅反発でも1銭譲って高値引けにしないイカした照れっぷり。日中値幅は194円。TOPIXは+31.05の1236.41。売買高は21億株、売買代金は2兆805億円と大台を堅持した。

 値上がり銘柄は1742で全体の95%を占め、値下がり銘柄は73。全セクターがプラスで、今週は全業種がプラス、マイナス、プラスと毎日極端。上位は海運、建設、空運、金属製品、情報・通信、陸運など。下位は保険、石油・石炭、ゴム製品、繊維、鉄鋼、銀行など。全て1%を超える上昇率だった。

 日経平均採用225種は値上がり221銘柄、値下がり3銘柄、値動きなし1銘柄の全面高。プラス寄与度1位はソフトバンク<9984>で+27円、2位はKDDI<9433>で+23円。マイナス寄与度1位は三井金属<5706>、2位はヤフー<4689>、3位はニコン<7731>で、全て-0.5円以下だった。

 メガバンクはみずほ<8411>3.4円高、三菱UFJ<8306>11.1円高、三井住友FG<8316>40.5円高と揃って反発。野村HD<8604>は10.4円高だった。自動車大手はトヨタ<7203>103円高、富士重工<7270>146円高、ホンダ<7267>96.5円高、マツダ<7261>86円高など堅調。前日にリコール問題が再浮上したタカタ<7312>は取引時間前に「修理に全面協力する」「リコール費用は一部程度」と発表し前場は押し目買いで172円高になったかと思えばマイナスに急落し、再びプラスに浮上する乱高下の果てに、売買代金12位で年初来安値を更新しながら終値は値動きなし。自動車用オイルシールとフレキシブル基板のNOK<7240>は通期の営業利益見通しを420億円から528億円に上方修正して101円高。自動車もスマホも需要好調で売上高が計画を上回る見通し。

 電機大手は、11月25日にエレクトロニクス事業の投資家説明会を開くソニー<6758>は62円高。シャープ<6753>は4円高、パナソニック<6752>は27円高、日立<6501>は22.8円高、東芝<6502>は7.9円高だった。国内の電子部品大手が自動車向け需要や「iPhone 6効果」などで好調な受注を維持し、日経新聞の集計では大手6社の7~9月期の受注総額は前年同期比13.1%増の1兆2600億円で過去最高を更新。その大手6社の村田製作所<6981>は100円高、TDK<6762>は180円高、京セラ<6971>は137円高、アルプス電気<6770>は96円高、日本電産<6594>は317円高、9月の月次売上が好調だった日東電工<6988>は288円高だった。

 スマホ、テレビ向けディスプレイ製品の売上が堅調なエレマテック <2715>は通期の営業利益見通しを56億円から62億円に上方修正。中間配当予想を27円から30円に、期末配当予想を32円から41円に増額修正して202円高で年初来高値を更新し値上がり率5位。キャノン<7751>は37円高だったがニコンは1.5円安と逆行安し年初来安値を更新。携帯電話や情報家電向け組み込みソフトのコア<2359>は人員合理化などで特別損失を計上し4~9月中間期が最終赤字に転落して37円安で値下がり率5位になった。

 九州電力<9508>は前日、9月24日までに申し込んでいれば、50KW未満の低圧(小口)なら太陽光発電でも再生可能エネルギーの買取手続きを再開すると発表し16円高。説明会では太陽光発電事業者から批判が相次ぎ、政府も買取量を増やすよう要請していた。「再生可能エネルギー全て拒否」からなし崩し的に妥協したのは、こじらせると川内原発の再稼働に支障をきたしかねないという九電特有の事情によるものなのか? それは他の電力会社が追随するかどうかでわかる。発表を受けてサニックス<4651>はストップ高の80円高で値上がり率1位、田淵電機<6624>もストップ高の150円高だった。