営業利益97%減で赤字の可能性も バーバリーと契約切れの三陽商会

2014年10月26日 16:34

 三陽商会<8011>は、2015年6月にライセンス契約が切れるバーバリーの代わりに、新ブランドの「マッキントッシュロンドン」を展開することを発表した。現在、百貨店内などで展開しているバーバリーの売り場のうち200店舗を「マッキントッシュ ロンドン」に切り替える。

 三陽商会はバーバリーとの契約が切れることにより、15年12月期の業績は、売上高が前期比10.3%減の960億円、営業利益が同97.2%減の2億円になると予想。また16年12月期は、売上高が11.5%減の850億円、営業損益は20億円の赤字に転落する見通しだ。

 三陽商会は1942年に創業。65年にバーバリーコートの輸入を開始し、以後50年近く関係を構築してきた。また日本では90年代に、20~30代向けのブルーレーベルとブラックレーベルを構築。手頃な価格帯の商品とあって、急成長を遂げた。そんな中、なぜ契約が切れることになったのだろうか。

 バーバリー本社がある英国では、バーバリーはラグジュアリーブランドとして展開。そのため現在、ラグジュアリー路線のグローバル戦略を推し進めている。また、10年にはスペインにおけるバーバリーのライセンス契約を直営展開に切り替え成功を収めた。これが同社のラクジュアリーブランドとしての世界戦略を後押しすることになる。つまり、こうした戦略に沿わないため、リーズナブルな価格帯で展開する日本のブルーレーベルとブラックレーベルはライセンスが切られたといわれているのだ。

 日本にバーバリーブランドを浸透させた三陽商会。バーバリーは日本国内に14ある直営店を、16年度までに37店に増やす計画だ。一方で、三陽商会はマッキントッシュロンドンで200億円の売り上げを目指している。ただ、これまでバーバリーを販売していた売り場をめぐっては、三陽商会と百貨店、そして競合の百貨店系アパレルの三者の思惑が交錯。三陽商会がどこまで売り場を維持できるか不透明な点もある。今後の三陽商会の動向が注目される。(編集担当:久保田雄城)