9月の百貨店売上高、6ヶ月連続マイナス 都市部は好調

2014年10月22日 08:29

 日本百貨店協会が公表した9月の百貨店売上高は4406億円あまりで、6ヶ月連続で前年割れとなった。縮小幅は前年同月比マイナス0.7%と、8月のマイナス1.9%からやや改善した。百貨店協会では、「前年と比べて日曜日が1日少なかったことが影響しており、休日減少分を勘案すれば実質プラスである」とコメントしている。訪日外国人や、一部の富裕層による消費が、高額消費を下支えしている。

 9月上旬は気温が下がり、売上の3割を占める衣料品が好調だった。紳士服はプラス2.7%、婦人服もプラス0.2%と堅調に推移している。特に東京では、コート、ジャケット、セーターなどがよく売れ、紳士服が5.3%、婦人服が2.7%、子供服が2.5%のプラスと、いずれも前年実績をクリアした。首都圏の消費は、全国平均を超えて推移している。一部の消費者の間では、「より上質なモノ」を求める価値志向が高まっており、客単価が上がっているようだ。

 化粧品もプラス3.8%と好調で、3ヶ月連続で前年実績をクリアした。4月の消費増税後に、反動で2ケタ減となった「美術・宝飾・貴金属」も、9月はマイナス2.8%と減少幅は縮小傾向にある。ブランドバッグなど「身の回り品」も、マイナス1%と、「休日減少分を修正すれば前年並みの水準」(日本百貨店協会)という。

 訪日外国人の消費も好調だ。中国や台湾、タイ、シンガポールからの観光客が増え、売上は前年比6割も増加した。売上高は9月として過去最高の47億円を記録し、1~9月の累計で、すでに前年の合計を上回っている。

 地区別で最もプラス幅が大きかったのは、名古屋(+2.8%)と、増床効果の大きい大阪(+2.7%)だ。一方、京都はマイナス8.8%、仙台は同4.6%、札幌は同3.7%と、都市部の中でも差が開いている。

 訪日外国人や富裕層の消費のおかげで、高級品の売上は徐々に戻ってきている。ただ、先行きは不透明だ。東京では、10月中間までの売上高が、前年比3%強のマイナスにとどまっている。2週連続で台風が上陸したことも、消費マインドに水を注しているようだ。(編集担当:北条かや)