ラップ口座が人気 資金運用を金融機関に一括お任せ

2014年10月29日 08:28

画・ラップ口座が人気 資金運用を金融機関に一括お任せ

ラップ口座を利用する人が増加している。資金運用や管理を一括して金融機関に任せてしまえるサービスだ。これまでは富裕層向けとして最低投資金額が1,000万円~1億円ほど必要だったが、近年300万円程度で利用できるようになった。

 ラップ口座の利用者が急増している。「包む(wrap)」という意味のラップ口座は、資金運用や管理を証券会社や信託銀行に丸ごと任せてしまえるサービス。もともとは富裕層を対象としていたもので、利用するには最低投資額として1,000万円~3,000万円程度が必要とされ、中には1億円というものもあった。しかし近年、個人でも気軽に利用できるよう申し込み最低金額が低く設定されるようになり、およそ300万円からラップ口座を開設することができるようになった。

 今年3月時点での契約件数は10万件以上にものぼり、全体残高は約1兆3,760億円で、前年同月比80%増にまで伸びた。6月末には契約件数12万件、残高は約1兆6,000億円となり、さらに9月末には2兆円を超える規模にまで拡大している。

 資金運用にリスクはつきものだが、それをすべてプロに委ねられる安心感が人気のようだ。退職金や保険の満期によってまとまった資金を手にしたシニア層や、インフレ促進に備えた対策のひとつとして活用を考える人は多い。また投資意欲はあるものの、時間がなくて対応できないビジネスマンなどの間でも支持されている。

 ラップ口座の開設時には金融機関の担当者がヒアリングを行い、個人の希望に沿った運用プランを作成する。運用目的に合わせた投資先の選択など相談や助言を行い、結果についても運用報告書を定期的に配送。個別に分析を行い、市場とズレが生じたときも適時調節するなどして安定したサポートを提供する。また年に1~4回程度プラン見直しの機会を設け、顧客の要望に細やかに対応する。

 株売買による手数料などがかからない利点がある一方、口座利用料として資産残高の1~2%程度が必要となる。金融機関によっては利益が出たとき成功報酬として利用料が上がる仕組みを採用しているところもある。

 比較的安心な資産運用先であるラップ口座だが、元本や利回りの保証はない。そのため、損失に対するリスクもつきまとうと心しておいた方がいいだろう。投資先となる商品や運用スタンスは金融機関で異なるため、自分に合ったものを選択できるよう慎重に比較検討したい。(編集担当:久保田雄城)