東京証券取引所などが19日発表した2013年度の株式分布状況調査によると、外国人の日本株の保有比率(金額ベース)は14年3月末で30.8%となり、初めて3割を超えた。金融機関(26.7%)を上回り、日本の「筆頭株主」に浮上した。また、外国人は13年度に日本株の売買で約6割のシェアを占め、買越額は9兆5000億円強に達した。保有比率は1年前に比べ2.8ポイント上昇し、2年連続で過去最高を更新した。
外国人の保有増が目立つのは構造改革などが実を結び、業績の復活が著しい大手製造業。14年3月期に23年ぶりに営業最高益を更新した日立製作所<6501>は、米投信大手のブラックロック・グループが保有比率を5%強に引き上げ、外国人比率が1年間で4ポイント上昇した。リストラが進み、収益が急回復したパナソニック<6752>も8ポイント増えた。
株式売買代金の6~7割を占める外国人の資金流入は株価形成へも影響が大きい。今後、日本企業は外国人投資家の存在を無視した経営ができなくなるだろう。外国人投資家は経営指標の中でも自己資本利益率(ROE)など効率性を重視する傾向がある。企業は資金の有効な活用法や投資先がないなら配当などで株主還元を増やすよう求められる可能性もある。
国際的に見たROEの低さは、かねて外国人投資家が日本企業に不満を抱く大きな理由の1つだった。その原因のひとつは、低採算の事業が温存されているからだ。ある事業をリストラするかどうかを決める時、日本企業は損益が赤字かどうかを重視する傾向がある。たとえどんなに資本を浪費している事業でも、利益が出てさえいれば存続してしまうのだからROEは高まらない。
80年代終盤から90年にかけてのバブル期にエクイティファイナンス乱発を招き、そのファイナンス資金が過大な投資や、意味のない資金運用に流れこんだ。これは資本コストを誤って理解しROEを無視した結果だ。そして、バブル崩壊後のほぼ10年にわたって、日本企業は過大投資や財テク処理に苦しむことになった。外国人株主の存在感が一段と高まる中、資本効率の改善や資金の有効活用を求める声が強まりそうだ。(編集担当:久保田雄城)