都バスの深夜運行は思いつき政策か?

2014年11月01日 21:42

画・都バスの深夜運行は思いつき政策か?

東京都交通局は、9月29日、昨年12月20日に開始した渋谷―六本木間の試験運行を終了すると発表した。猪瀬前知事の肝いりで始まった終夜バス事業も1年も持たず10月に終了を迎える

 六本木から渋谷へ、東京の中心的な街をつなぐ深夜バス。地下鉄の最終に乗り遅れた六本木で夜遅くまで遊んだ大人が都営バスに乗って渋谷に行く・・・はずもなかった。東京都交通局は、9月29日、昨年12月20日に開始した渋谷―六本木間の試験運行を終了すると発表した。猪瀬前知事の肝いりで始まった終夜バス事業も1年も持たず10月に終了を迎える。

 このバス事業、いったいどういった事業か。毎週金曜日の深夜に渋谷駅から六本木駅の間を4往復運行するもの。停車場は、渋谷駅、渋谷三丁目(六本木駅発のみ停車)、青山学院中等部、南青山七丁目、西麻布、EXシアター六本木(六本木六丁目から改称)、六本木駅。渋谷発として、1時10分、2時20分、3時30分、4時40分の便。六本木発として1時40分、2時50分、4時00分、5時10分の便から構成される。歩行すると、45分程度かかる距離。運賃は通常の深夜バスと同じ420円。

 当初は1年間実施する予定であったが、早期に終了の決断の裏には何があったのか。第一に、利用者数の低迷。12月は1日平均300人ほどの利用、今年1月以降は75人と低下、50人を下回ることも。そのため、8月末までに270万円ほどの赤字が出ている。六本木から渋谷まで筆者も乗車したことがあるが、10人くらいしかおらず、余裕で座れた。第二に、利用者数の低迷に伴う赤字。採算ラインは1便あたり27、28人程度のため、まさに赤字の垂れ流し状態。

 これらの原因として、そもそも政策にニーズがなかったことにつきる。企画段階で、渋谷より自宅までの先の交通手段がない、バス乗り場がわからない・そこまで遠い、待つ必要があるなどなど問題点は想定されていた。他の民間交通機関の連動も行われないことなど不運も重なった。

 散々な結果となった政策であったが、フィージビリティスタディ―(実行可能性調査)をどこまでしたのだろうか。リーダーである都知事の肝いり事業とは言え、政策効果が見えないものをなぜ認めたのか。猪瀬前知事に忠告できなかった意味で、当時の幹部層は責任を問われるべきだろう。(編集担当:久保田雄城)