維新と民主が1日で決裂 本当に決裂したのは「維新と結い」

2014年10月10日 19:51

画・維新と民主が1日で決裂 本当に決裂したのは「維新と結い」

日本維新の会の一部と結いの党が合流し先月末に誕生したばかりの「維新の党」から、早くも不協和音が聞こえてきた。10月2日、維新の党の江田憲司共同代表と民主党の海江田万里代表が国会内で会談し、臨時国会における共闘を確認した。

 自民党と社会党の二党が相対し「一と二分の一政党制」と呼ばれたのは今は昔、最近は「自民一強」と呼ばれ自民党の一人勝ち状態が続いている。今の野党の状況を見る限り、この状態はまだまだ続きそうだ。

 日本維新の会の一部と結いの党が合流し先月末に誕生したばかりの「維新の党」から、早くも不協和音が聞こえてきた。10月2日、維新の党の江田憲司共同代表と民主党の海江田万里代表が国会内で会談し、臨時国会における共闘を確認した。野党第一党と第二党がともに安倍政権に対峙することで自民一強状態の打破へ足がかりをつかむはずが、意外なところから横槍が入った。翌日3日、維新の党の幹事長を務める松井一郎大阪府知事は「民主党とは相容れない政策が多すぎる。一緒に対峙することはない」と共闘を否定した。さらに「アベノミクスは必ず成功してもらいたい」とも述べ、代表である江田氏の方針にはっきりと異をとなえたかたちとなった。

 維新の党では、日本維新の会時代にも問題となった「東京」対「大阪」の対立がまた繰り返されている。同党の橋下徹共同代表は「東京だけで勝手に話を進めるのは困ると江田憲司共同代表に伝えた」と、はっきりと「東京」の国会議員団と対立を認めた。これに対し「勝手に話をするな」と釘を刺された国会議員団をまとめる立場の松野頼久代表代行は「松井氏は『国会運営は国会議員団で決めてください』と言っていた」と自分たちが「大阪」の意向に縛られないことを明言している。

 このように2人の共同代表だけでなく幹部がそれぞれバラバラに意見表明をしていることは、維新の党が組織としての体をなしていないことを世間に広く宣伝することになってしまっていることは明らかだ。そもそも国会議員団は「最強野党を目指す」と言っているが橋下氏ら大阪組は安倍政権に近いスタンスを取っており、政権との対峙の仕方が違う以上他の野党への対応が異なるのは仕方のないのかもしれない。

 この対立に油を注ぐように、4日には橋下氏には相談せずに江田氏が将来は「民主自由党」を作るとテレビ番組で発表した。早くも決裂が見られている今の状況では、他の党も維新の党に冷めた目を向けざるを得ないだろう。連携を1日で反故にされた海江田代表は「国会のことは江田氏らと話をすればいい」と橋下氏を無視した発言をしている。今回決裂したのは民主党と維新の党ではなく、「日本維新の会」と「結いの党」だ。そのことを自覚しなければ、「最強野党」など夢のまた夢だろう。(編集担当:久保田雄城)