生物多様性という言葉を知っていますか?

2014年11月02日 11:28

画・生物多様性という言葉を知っていますか?★

生物多様性という言葉を知っている人はどれくらいだろうか。内閣府の調査で、生物多様性という言葉について52.4%の人が「聞いたこともない」と答えた。それほど認知度が低い社会的課題である。この生物多様性条約の第12回締約国会議が、韓国の平昌で開催された。

 生物多様性という言葉を知っている人はどれくらいだろうか。内閣府の調査で、生物多様性という言葉について52.4%の人が「聞いたこともない」と答えた。それほど認知度が低い社会的課題である。

 いったいどういったものなのか。「すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む」と定義されている。簡単に言うと、地球全体に、3000万種ほど多様な生物や多様な生態系が存在していることといえば理解しやすいかと思う。

 この生物多様性条約の第12回締約国会議が、韓国の平昌で開催された。ここでは、生物多様性の損失を止める「生物多様性戦略計画2011-20」の取り組み状況の評価、特に20年までの個別目標である「愛知目標」の進捗状況などが話し合われた。会議の前半で、愛知目標の20項目のうち達成が見込めるのは3項目であることが発表された。陸域の保護地域面積、遺伝資源の利用と公正な利益配分を定めた名古屋議定書、各国がつくる生物多様性国家戦略の改定がその3つ。

 今回、注目されたのは「名古屋議定書」だ。企業が生き物や自然の恵みを使って医療品や食品を開発する際に、売上の一部を、資源を提供した途上国に分配するというルールを定めている。

 この議定書、締結をした国の数が条件である50に達したため、10月12日に発効したが、日本は批准していない。すでに閣議決定がされているが、国内の調整が進まなかったことが理由だ。会議の前には。日本製薬工業協会、日本漢方生薬製剤協会、バイオインダストリー協会など5団体が「批准すべきでない」とした要望書を厚労相に提出するなど、産業界には反対の声があるようだ。
  
 この名古屋議定書に掲げられた先進国の企業が得た利益を提供国に分配する仕組みが開始されることになる。日本企業においても社会的責任が問われるテーマであろう。こうした中、11月にはESD(Education for Sustainable Development)ユネスコ世界会議が名古屋で開催される。(編集担当:久保田雄城)