【日経平均】7年ぶりの17000円台に定着せずとも448円高

2014年11月04日 20:20

 コマツ<6301>は通期業績見通しの営業利益を120億円上方修正して2550億円、純利益を30億円上方修正して1570億円とした。年間配当予想は58円で据え置き。営業利益見通しは市場予測を上回って62.5円高で年初来高値を更新した。空圧制御機器のSMC<6273>はスマホ、自動車製造ライン向け製品が好調で、4~9月中間期の経常利益を5.3%減益の575億円から21.9%増益の740億円に大幅上方修正し220円高で年初来高値更新。2年連続で最高益を更新する。

 NTTドコモ<9437>の4~9月中間期決算は売上高1%減、営業利益16%減、純利益14%減と悪化。通期業績見通しも純利益を3%増益の4800億円から10%減益の4200億円に下方修正し、序盤からマイナスで32円安。対照的にKDDI<9433>の4~9月中間期決算は売上高4%増、営業利益11%増、純利益42%増と好調で323円高で年初来高値更新。スマホの普及でデータ通信料収入が増えた。通期業績は据え置き。ソフトバンク<9984>は大引け後に決算発表を控えて終盤失速し88円高どまりだった。

 東京電力<9501>の4~9月期中間決算は経常利益71%増の2428億円で2年連続の1000億円を超える黒字。柏崎刈羽原発の再稼働の見通しがつかない中、発電所工事を繰り延べにし、火力発電の燃料費の上昇を人件費や資材費の削減で補って黒字を出した。通期見通しは非公表。終値は8円高。関西電力<9503>同様に原発再稼働がなければ電気料金値上げというコメントを出している。中部電力<9502>はシンガポールのパビリオン・ガスとLNGの共同調達に関する覚書を締結。とかく「高く買わされている」と批判されるLNG調達価格の低減の努力を評価され47円高で年初来高値更新。料金値上げを口にする前にやるべきことがある。

 原油先物市場が3日続落し国際石油開発帝石<1605>は26円安。石油元売り5社が2016年度までに設備を縮小し供給能力を1割削減と報じられた。JXHD<5020>は後場に4~9月中間期決算を発表し経常利益は76.2%減で、通期の経常利益見通しを2450億円から40.5%減の1800億円に下方修正するとマイナスに沈み6.3円安。出光興産<5019>は14円安、コスモ石油<5007>は1円安、昭和シェル石油<5002>は値動きなし、東燃ゼネラル石油<5012>は3円高。石油・石炭セクターはマイナスで、鉱業セクターは最下位だった。

 トクヤマ<4043>はマレーシアでの事業計画見直しで特別損失を計上し、通期最終損益見通しを95億円の黒字から750億円の赤字に下方修正。年間配当予想も6円から無配としたため序盤から逆行安し66円安。年初来安値を更新し値下がり率1位。富士フイルムHD<4901>はイーライ・リリーとPET検査用のアルツハイマー検査薬を開発と報じられ22.5円高で年初来高値を更新した。

 9月に「ソニーショック」に負けず劣らずの衝撃度だった「住商ショック」をもたらした住友商事<8053>は4~9月中間期決算を発表。資源・化学品事業の不振を非資源部門で補えず、売上高は8%増ながら営業損益は前年同期の903億円の黒字から994億円の赤字に、最終損益は1166億円の黒字から384億円の赤字に転落した。アメリカのシェールオイル開発とオーストラリアの石炭事業で減損損失1673億円を計上し、中間期の最終赤字は1996年以来。通期業績見通しは売上高6%増、減損損失2400億円計上、純利益96%減で据え置き。それでも期末配当は1円増の25円、年間配当3円増の50円と発表した。社長が40%減など全役員の報酬減額も決めたが、そこまでして増配で株主還元する姿勢が痛々しくて気の毒。株価は29円高だった。伊藤忠商事<8001>はタイのチャロン・ポカパン(CP)グループと組み、上海の規制改革特区を活用し中国で日本製品のネット通販事業に参入と発表して32円高。アマゾンも中国市場参入を表明しているが、11月11日はアリババが仕掛けて今や「ネット通販まつり」と化した中国の「光棍節(独身者の日)」。その結果を世界が注目する。兼松日産農林<7961>は兼松<8020>が200円のTOB価格でTOBを実施し保有比率を51%に高め連結子会社化すると発表すると24円高で値上がり率1位。兼松は1円高だった。

 首都圏の食品スーパー、マルエツ<8178>、カスミ<8196>、マックスバリュ関東の3社が2015年3月2日に共同持株会社「ユナイテッド・スーパーマーケットHD」を設立して経営を統合するとイオン<8267>が正式発表した。同日上場予定の新会社の社長はマルエツの上田真社長が就任する。イオンが7割、丸紅<8002>が3割出資する共同出資会社がTOBを実施し全株を保有し、各スーパーの屋号は変わらない。マルエツは5円高、カスミは17円高で年初来高値更新、イオンは12円高。丸紅は14.2円高だった。ローソン<2651>は2015年春をメドにアマゾンジャパンの商品をコンビニの情報端末で注文し、全国約12000店舗の店頭で受け取れるサービスを始めると報じられたが20円安。静岡県の199店舗で試行する。コンビニをデポとする「オムニチャネル戦略」は花盛り。

 ついこの間まで酸欠の金魚のようだった不動産セクターは日銀の追加緩和で息を吹き返し、住友不動産<8830>は売買代金11位で240円高、三井不動産<8801>は売買代金12位で113円高で年初来高値更新、三菱地所<8802>は売買代金13位で36円高。ケネディクス<4321>は売買高3位、売買代金4位に入り69円高で年初来高値を更新し値上がり率8位。臨時国会は「政治とカネ」の問題や労働者派遣法改正案をめぐる与野党の攻防で重要法案の審議日程が厳しくなり、「IR関連法案」の成立は見送りの公算と報じられた。カジノ関連銘柄はセガサミーHD<6460>85円安、コナミ<9766>12円安、日本金銭機械<6418>34円安、オーイズミ<6428>1円安、イチケン<1847>6円安と軒並み安。個人情報漏洩事件が起きたベネッセHD<9783>は通期の最終損益見通しを10~90億円の赤字と発表。上場以来初の赤字を見込み70円安だった。

 enish<3667>は事前登録者が10万人を突破したゲームアプリ「千年の巨神(せんかみ)」の配信開始日。期待されて前場は一時ストップ高で年初来高値を更新し値上がり率ランキングに入ったが、昼休みにリリースされるや「面白くない」などユーザーからブーイング続出で後場は急転直下436円安で値下がり率2位。それでもカネで評判を買うような「大人の事情」などが入る余地もなく単純明快で清々しい。ミクシィ<2121>は110円高。新興市場は日経ジャスダック平均1.03%上昇、東証マザーズ指数2.66%上昇。LINE関連のアドウェイズ<2489>は4~9月中間期の営業利益が96%増で36円高だった。

 この日の主役は「日銀買い入れ期待銘柄」。日銀の個別株買い入れは日銀法で禁止されているが、ETF(上場投資信託)は2010年12月から買い入れている。「ハロウィン緩和」でETF保有残高の上限が年間1兆円から3兆円へ一気に3倍になり、日銀の発表文には「新たにJPX日経400に連動するETFを買入れの対象に加える」と入った。現在のTOPIX連動型、日経平均連動型に新しくJPX日経400連動型が加われば今後、3種類の株価指標全てに採用される銘柄は、間接的にだが日銀によりいっそう買われることになる。

 現在それは約160銘柄あり、その中でJPX日経400の指標算出の際の構成ウエートが1%を超えるのはJT、セブン&アイHD、武田薬品、アステラス製薬、日立、三菱電機、パナソニック、ファナック、日産、トヨタ、ホンダ、キヤノン、三井物産、三菱商事、みずほ、三菱UFJ、三井住友FG、三井不動産、三菱地所、JR東日本、NTT、KDDI、NTTドコモ、ソフトバンクの24銘柄。10月31日は全て上昇し、この日はNTTとNTTドコモを除く22銘柄が上昇し、平均騰落率は2.48%で9銘柄が年初来高値を更新した。今後、前場の株価指数が下落した日は日銀のETF買い入れ出動、人呼んで「日銀砲」が発射される頻度も金額も増えると見込まれるが、その時にはこの24銘柄の株価がより上昇しやすいはずだ。(編集担当:寺尾淳)