【日経平均】「大引け劇場」は急落だったが104円高で続伸

2014年10月30日 20:16

 29日のNYダウは31ドル安で5日ぶり反落。NASDAQは15ポイント下落した。FOMCの結果は量的緩和政策(QE3)の終了宣言と、ゼロ金利終了まで「相当な期間(considerable time)をおく」という表現を維持する大方の予想通りの穏当さだったが、労働市場の改善を評価したため「景気の不安は遠のいた」「タカ派寄りで利上げは案外近い」と思惑が交錯。アメリカ東部時間2時の発表時からNYダウは約100ドル幅で乱高下した。過去最高益の大幅増収増益決算で売上高もEPSも市場予測を上回ったフェイスブックは細かいあら探しをされて6.1%下落。優等生はつらい。30日朝方の為替レートはドル円が108円台後半、ユーロ円が137円台半ばで、アメリカの長期金利が上昇しドル高円安が進んだ。

 CME先物清算値は15670円。日経平均は円安を背景に42.59円高の15596.50円でスタートし、TOPIXもプラスで始まる。数分でザラ場では10月9日以来の15600円台を回復して高値を取りながら上昇。午前9時40分に15665円まで上昇した。為替のドル円は109円にタッチ。その後はおおむね日経平均は15630~15660円、TOPIXは1278~1280のレンジで上下動する。それが10時台も続き、上海市場、香港市場がマイナスで始まっても影響なし。安定ぶりに「FOMC無事通過」の安心感がにじむ。それでも上値追いできないのは翌日の経済指標ラッシュや日銀会合待ちや、前日に25日、75日の移動平均線を抜いて日足一目均衡表の「雲」の中に突っ込み、その雲が366円と最近になく厚いこともありそうだ。11時台は少し下げ、前引けは15636円だった。

 安倍首相が衆議院予算委員会でGPIFの運用見直しに言及すると昼休み中に日経平均先物が上昇し、現物も後場15666円と高値を取って再開。午後0時42分に15682円まで上昇するが、後は15680円の手前で動かなくなる。1時台はおおむね15650~15670円の値動きが続き、変化が乏しく近くて遠きは田舎の道。2時台になると先物主導で変化が生じ2時29分に15701円の高値をつけるが、10月9日以来の15700円台はタッチしただけ。

 終盤まで15680円近辺で推移したが、大引けで大きく下げる。9月に東証1部に指定替えになった14銘柄が31日にTOPIX構成銘柄に加わる「TOPIXインデックス買い」や、既存の構成銘柄も浮動株比率の変化などに応じてポジション調整がなされる「TOPIXリバランス」が早くから話題を集めていたが、「大引け劇場」の結果はTOPIXも日経平均も急落という幕引きだった。日経平均終値は104.29円高の15658.20円で続伸し10月7日以来の終値15600円台回復。日中値幅は117円だった。TOPIXは+8.26の1278.90で大引けで1280台ならず。売買高は27億株、売買代金は2兆7740億円で、やはり大引けで売買が積み上がっていた。

 値上がり銘柄は大引けで1000を割り917で全体の50%。値下がり銘柄は806。上昇は29業種で下落は4業種。プラスセクター上位は不動産、銀行、その他金融、電気・ガス、その他製品、電気機器など。プラスセクター下位はゴム製品、建設、卸売など。マイナスセクターは水産・農林、証券、ガラス・土石、食料品だった。

 日経平均採用225種は値上がり143銘柄、値下がり72銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>の+29円、2位は「大引け劇場」で高値引けのソフトバンク<9984>の+27円で、両銘柄で56円と日経平均上昇幅の約半分を占めた。マイナス寄与度1位はファナック<6954>で-10円、2位は通期の営業利益が従来予測の420億円から約150億円下振れするという業績観測が出た資生堂<4911>で-2円だった。

 日銀会合を翌日に控えたメガバンクはみずほ<8411>3.2円高、三菱UFJ<8306>は高値引けで9円高、三井住友FG<8316>は23.5円高。東証は現物株市場の取引時間拡大を9時以降の夜間取引から3時以降の「夕方取引」へ方針転換。3時30分~5時の夕方取引市場創設案と、大引けを4時以降に延ばす日中取引延長案の2つの打診を受ける証券セクターは業種別騰落率マイナスと不振で、野村HD<8604>は「大引け劇場」で安値引けになり4.2円安だった。

 後場に4~9月期の国内自動車生産台数が発表され0.8%増だったが、9月は2.6%減で3ヵ月連続マイナス。トヨタ<7203>は後場ずっとプラスだったが「大引け劇場」に巻き込まれ2円安。三井物産<8031>や三菱重工<7011>も同じ憂き目にあって0.5円安だった。日産<7201>は1.7円安、ホンダ<7267>は19.5円高、マツダ<7261>は24円高、富士重工<7270>は3.5円高。三菱自動車<7211>は前日、4~9月中間期決算を発表。北米とヨーロッパで販売が伸び売上高は11%増、営業利益は23%増、純利益は30%増だった。しかし通期の売上高見通しを10%増の2兆3000億円から1200億円下方修正し4%増の2兆1800億円で43円安。営業利益、純利益の通期見通しは据え置き。ダイハツ工業<7262>は4~9月中間期の減収減益と通期の売上高、営業利益見通しの下方修正を発表したが7円高だった。

 ソニー<6758>は「大引け劇場」で大幅高値引け53.5円高。これまで悪いことが多すぎたから御慈悲か? パナソニック<6752>は24.5円高、シャープ<6753>は2円高、NEC<6701>は3円安、東芝<6502>は8.3円高。日立<6501>は通期の営業利益見通しを5600億円から9%増、2年連続最高益更新の5800億円に上方修正し16.1円高。資源大手のリオ・ティントとオーストラリアの鉄鉱石鉱山の運営事業に参加するニュースもあった。三菱電機<6503>が後場発表した4~9月期中間決算は増収増益で営業最高益だったが1円高。ルネサスエレクトロニクス<6723>の4~9月中間期決算は営業利益2.4倍で従来予想の460億円を上振れ、最終損益は黒字転化し43円高。今年3度目の早期退職優遇制度実施、工場閉鎖などリストラ策も無慈悲に好感されていた。