【日経平均】日銀大緩和ウルトラサプライズ暴騰755円高

2014年10月31日 20:33

 30日のNYダウは221ドル高で17200ドルを上回る時間帯もあり9月24日以来の高値。NASDAQ総合指数は16ポイント上昇。注目の7~9月期実質GDPは3.5%増で市場予測の3.0%を大きく上回り景気不安も利上げ警戒感も後退。新規失業保険申請件数は市場予測を下回りブラジルの予想外の利上げの影響も限定的だった。企業決算は活発な個人消費を反映してカード利用が10%伸びたVISA、海外利用が15%伸び15%増益のマスターカードが好調でVISAは10.2%、マスターカードは9.4%上昇。しかし「アップルペイ」で両社と提携するアップルは0.34%下落。クックCEOがLGBTをカミングアウトしようと経営手腕とは全く無関係なのだが……。31日朝方の為替レートはドル円は109円台前半、ユーロ円は137円台後半で前日よりドル高円安が進行していた。

 CME先物清算値は15785円。月末の最終金曜日なので取引開始前に経済指標がまとめて発表された。消費者物価指数(CPI)は9月全国が+3.0%で16ヵ月連続プラス、10月東京都区部が+2.5%でどちらもほぼ市場予測通りだが、消費増税分を除くと全国は+1.0%、東京都区部は+0.6%で低迷したまま。9月の家計調査の2人以上世帯の実質消費支出は-5.6%で市場予測の-4.4%を下回り6ヵ月連続マイナスで財布のヒモは締まったまま。9月の労働力調査は完全失業率が3.6%で8月から0.1ポイント悪化、有効求人倍率が1.09倍で0.01ポイント悪化。どちらもほぼ市場予測通りだが有効求人倍率は2011年5月以来3年4ヵ月ぶりに低下し、雇用の満月にもむら雲がかかってきた。一方、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株運用比率を25%に引き上げるニュース、安倍内閣が11月に2~3兆円程度の補正予算編成を検討するというニュースが流れていた。

 「ハロウィン」の日経平均は158.94円高の15817.14円で10月7日以来の15800円台を回復して始まる。TOPIXも同じ日以来の1290台でスタート。始値=安値の「寄り安」から活発な売買を伴って上昇し、午前9時40分頃に15900円突破。ザラ場中のタッチは10月7日以来。9時58分には15938円の高値をつける。TOPIXも1300寸前まで上昇した。これは月末のドレッシング買いと言うより、NY株高、ドル円109円台の円安、GPIFと補正予算の政策ニュースに刺激された海外投資家主体の先物買い。上海も香港もプラスで始まりアジア市場は全面高。日経平均は15900円台をおおむね維持し、11時台は高値圏で推移して前引けは15921円だった。

 日銀会合の結果がまだ出ないまま、後場やや高く再開した直後に高値を取って上昇し午後0時40分に15958円まで上昇するが、日足一目均衡表の「雲」の上限15989円の手前で抑えられて折り返し1時台は15900円を割って推移していた。ところが、1時44分に日銀会合の結果が予想外の大型の追加金融緩和だと伝わるやいなやウルトラサプライズ暴騰。「雲」も16000円も一気に突き抜け16300円台までロケット上昇し、1時47分に16357円の高値をつける。為替はドル円110円台、ユーロ円139円台に乗せる。2時を回ると第2波がきて、2時9分に9月25日の高値引けの年初来高値16374円を突破して半値戻しの翌日の「全値戻し」達成。1分後には16400円台に乗せて16455円まで上昇した。

 第3波は終盤で、GPIFが「国内株運用比率25%」を承認するとドル円レートは111円にタッチ。日経平均は2時48分に16500円を突破して16533円まで上昇し「アベノミクス相場最高値」をマークした。しかし3連休前はきつくなる利益確定売りの金曜日ゆえ大引けでさすがに売られて終値は今年最大幅の755.56円高、終値年初来高値16413.76円は2007年11月2日以来7年ぶりの水準。4勝1敗、24日の終値から1122円上昇して今週の取引を終えた。日中値幅は716円。しかしTOPIXは+54.74の1333.64で9月25日の高値引け1346.43に及ばなかった。売買高は40億株で前回「黒田バズーカ緩和」の翌日2013年4月5日の空前の64億株は遠かったが、売買代金は4兆1982億円でその日の4兆8633億円に近づいていた。

 東証1部の値上がり銘柄数は1694で全体の92%を占め、値下がり銘柄数は120。しかし全セクタープラスではなく32業種上昇、1業種下落。プラス上位セクターは不動産、その他金融、証券、倉庫、精密機器、保険など。プラス下位セクターはガラス・土石、海運、水産・農林、パルプ・紙、石油・石炭など。マイナスセクターは空運だった。

 日経平均採用225種は値上がり220銘柄、値下がり5銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+105円、2位はファナック<6954>で+52円というすさまじさ。マイナス寄与度1位はカシオ計算機<6952>、2位は日本ガイシ<5333>で、ともに-3円。どちらも4~9月中間期決算が伸び悩んでいた。

 メガバンクはみずほ<8411>5円高、三菱UFJ<8306>24.2円高、三井住友FG<8316>294円高。それ以上に金融緩和の恩恵を受けたのがノンバンクで売買高4位のアイフル<8515>は77円高で値上がり率2位、売買高8位のオリコ<8585>は20円高、オリックス<8591>は162円高でその他金融セクターは業種別騰落率第2位。証券セクターは同第3位と買われ、野村HD<8604>42.7円高、大和証券G<8601>65円高、松井証券<8628>74円高。マネックスG<8698>が値上がり率5位、光世証券<8617>が同12位に入っていた。正午に発表した中間決算も通期見通しも減収減益だったJPX<8697>も244円高で終えた。