28日のNYダウは187ドルの大幅高。謀ったかのように取引終了直前に10月3日以来の17000ドル台に滑り込んでほぼ高値引け。NASDAQも78ポイント上昇した。耐久財受注は2ヵ月連続マイナス、S&Pケース・シラー住宅価格指数は5.6%上昇で市場予測とほぼ同水準だったが、CB消費者信頼感指数は市場予測を大幅に上回った。主要企業から好決算が次々出てNYダウは尻上がりに上昇。デュポン、ファイザー、アムジェンはEPSが市場予測を上回りそれぞれ0.1%、0.2%、6.1%上昇。赤字拡大のツイッターは9.8%下落したがグーグルは1.5%、インテルもアップルも1.6%上昇し、フェイスブックも0.6%上昇するなどハイテク・ネット系もおおむね好調でNASDAQを押し上げた。29日朝方の為替レートはドル円は108円台前半、ユーロ円は137円台後半で円安に振れた。
CME先物清算値は15430円。取引開始前に9月の鉱工業生産指数速報値が発表され、生産は+2.7の97.8、出荷は+4.3の97.9でともに2ヵ月ぶりのプラスで市場予測を上回った。在庫はマイナスのままだが経済産業省は基調判断を「弱含み」から「一進一退」に改めマーケットには好材料。日経平均は112.48円高の15442.39円で15400円台を回復し、TOPIXも1260台を回復して始まる。一時は15400円を割り15400~15420円の狭いレンジで推移するかと思えば9時30分前からにわかに上昇開始。10月17日の安値14529円と9月25日の年初来高値16374円の間の「半値戻し」15451円をまずクリア。10日高値の15345円と9日安値15461円の間の「マド埋め」も完了して、9時47分に15500円を突破。10時2分には15551円まで上昇して前日時点の25日移動平均線15540円も超えた。10時台は高値圏で推移。為替レートは朝からあまり変化がないが、上海も香港もプラスで始まりアジア株は全面高。11時台はさらに一段高して11時9分に15564円をマークし、前引けは15541円で25日線を上回った。
後場は約32円高い15573円で再開。午後0時36分に15595円の高値を取った後は徐々に15550円付近まで水準を下げながらも安定した値動き。為替レートもほとんど動かず、TOPIXは1270近辺で小動きでFOMCの結果を息をひそめて待つムード。そのまま大引けになり終値は224.00円高の15553.91円と反発し、終値ベースで10月8日以来の15500円台に乗せた。日中値幅は201円。TOPIXは+18.64の1270.64。売買高は21億株。売買代金は2兆1006億円で5日ぶりに大台を回復した。
値上がり銘柄は1546で全体の84%を占めた。値下がり銘柄は225。全業種プラスで上位セクターは証券、鉄鋼、鉱業、石油・石炭、金属製品、非鉄金属など。下位セクターは化学工業、医薬品、電気・ガス、陸運、水産・農林、食料品などだった。
日経平均採用225種は値上がり210銘柄、値下がり14銘柄の全面高。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>、2位はファナック<6954>、3位は「第2のアリババ」としてインドのネット通販大手スナップディールに3割超、約680億円を出資し筆頭株主になり、今後10年でインドに1兆円を投資する方針を発表したソフトバンク<9984>、4位はKDDI<9433>で「四天王」が日経平均を62円、27.7%押し上げた。マイナス寄与度1位は4~9月中間期決算が市場予測を上回ったが野村證券がレーティングを引き下げた信越化学<4063>で-6円、2位は高血圧症治療薬「オルメサルタン」など主力薬の特許切れに備えた早期希望退職者募集を嫌気され値下がり率13位の第一三共<4568>で-2円だった。
メガバンクはみずほ<8411>2円高、三菱UFJ<8306>9 円高、三井住友FG<8316>61.5円高。名古屋銀行<8522>は通期の純利益見通しを24億円から56億円に上方修正し30円高で値上がり率9位。横浜銀行<8332>は三井住友トラストHD<8309>傘下の三井住友信託銀行と投資信託などの個人向け金融商品を運用する共同出資会社を横浜市に設立し、資産運用分野で業務提携すると発表して16.2円高。三井住友トラストHDは売買高11位で6.2円高。地銀と信託が手を組みメガバンクや大手証券に対抗する。
ブラジルから南米諸国に低価格小型車の輸出を拡大して現状の2倍にすると報じられたトヨタ<7203>は90円高。ホンダ<7267>の4~9月中間期の純利益は19%増の2884億円。通期の売上高見通しを500億円引き下げ、純利益見通しを前期比5%増の6000億円から2%減の5650億円に下方修正すると発表し2.5円安で年初来安値更新。三菱自動車<7211>はプジョー・シトロエンと合弁のロシアの完成車工場の生産が一時中止というニュースがあったが38円高。タカタ<7312>のリコール問題はトヨタ、ホンダを巻き込んだ集団訴訟(クラスアクション)にエスカレート。安全に関する重要な情報を隠したとしてアメリカの消費者がフロリダ州の連邦地裁に提訴し86円安で値下がり率9位。小糸製作所<7276>の4~9月中間期決算は経常利益が47.1%増と好調。過去最高益を見込む通期の経常利益はさらに12%上方修正し246円高で年初来高値を更新して値上がり率7位に入った。
ソニー<6758>はスマホの世界販売がふるわず下振れ懸念もあった通期の営業赤字を400億円で据え置く公算という業績観測報道が出て103円高で9月17日以来の終値2000円台回復。パナソニック<6752>はホンダとEV用電池事業で協業すると報じられ22円高だった。決算発表前の日立<6501>は6.7円高、シャープ<6753>は3円高。オムロン<6645>の4~9月中間期決算は税引き前利益は49.8%増の449億円で従来予想より拡大。通期営業利益見通しは23.4%増の845億円、純利益見通しは35%増の625億円で過去最高の見込み。年間配当を63円から71円に増額修正した他、発行済株式数の1.36%相当の300万株の自社株買い、4.5%相当の1000万株の自社株消却も発表し345円高で値上がり率10位。アドバンテスト<6857>の4~9月期決算は税引き前損益は80.1億円の黒字で、前年同期の73.8億円の赤字から黒字転換。通期の純利益見通しを75億円から80億円に上方修正したものの後場マイナスになり11円安だった。
ミネベア<6479>は通期の経常利益見通しを35.4%増の380億円から71.0%増の480億円に上方修正し44円高。17期ぶりの過去最高益更新。シマノ<7309>は自転車も釣りも夏の天候不順に直撃されたが販売は国内外とも順調で、12月期通期の営業利益見通しを580億円から610億円に今期3回目の上方修正を行い490円高で年初来高値更新。川崎重工<7012>は後場に4~9月中間決算を発表し経常利益は13.9%増。通期経常利益見通しは660億円から増益率18.8%の720億円に上方修正し7期ぶりの過去最高益。売買高12位に入り10円高だった。