連合は「G20サミットで質の高い雇用の創出を伴う包摂的な成長を実現するよう、日本政府として積極的に発言するように」と塩崎恭久厚生労働大臣に要請した。サミットは15日、16日の2日間、オーストラリアブリスベンで開かれる。
要請では「新興国経済の成長の鈍化やユーロ圏での低成長・高失業率などを背景に世界経済の長期低成長の懸念は広がる一方であり、日本を含む多くの国で雇用が著しく劣化している」(古賀伸明会長)との認識の下、「労働市場の柔軟化や規制緩和は雇用の質の劣化を招き、ひいては働く者の命と健康を脅かすおそれがあるため、長期的な視点に立って『人への投資』を積極的に促進する。特に、若年層に良質な就労機会を提供することは急務」としている。
そして、包摂的な成長実現のために産業政策と雇用政策を一体的に推進し、経済を持続的・安定的な成長軌道に乗せ、劣化した雇用の立て直しをはかることや(1)非正規労働者や中小企業で働く労働者の待遇改善など格差是正に取り組み、賃金引き上げにより消費購買力を向上させ、内需拡大をはかる(2)女性、若者の就業率の向上に向け、子育てや介護による離職防止に向けた制度・施策の拡充、地域包括ケアシステムの確立を進める(3)生活困窮者支援の実施体制を充実させるとともに、医療保険・介護保険の保険料軽減などの低所得者対策を進めるなどを求めた。
このほか、(1)国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(2015年、パリ)において、すべての締約国を対象とした野心的で公平・公正な温室効果ガス排出削減計画が策定されるよう、G20のリーダーシップを発揮する(2)シャドーバンキング規制および金融機関への監視ルール強化などの金融改革を行い、投機を抑制し、中長期的かつ生産的な投資に転換する(3)労働者の権利を保護し、職場の安全を確保するため、多国間・二国間自由貿易協定・経済連携協定に中核的労働基準の遵守条項を盛り込むなども求めている。(編集担当:森高龍二)