【今週の振返り】マーケットの風景が変わって466円上昇した週

2014年11月08日 20:27

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黒田日銀の「突然の贈り物」の絶大な効果が地球を周回。スキをついた先物売り崩しの影響も半日限り。それでも終値17000円台はお預け

 前週末10月31日のNYダウは195.10ドル高の17390.52ドルで9月19日以来約1ヵ月半ぶりに史上最高値を更新。NASDAQ総合指数は64.60ポイント上昇し14年7カ月ぶりの4600台に乗せた。全面高の最大の理由は日銀の追加金融緩和で、個人所得が堅調に伸びシカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数も市場予測を上回った。3日のNYダウは24ドル安の小幅安でもNASDAQ総合指数は8.17ポイント上昇。建設支出は0.4%減で2カ月連続マイナスだったが、ISM製造業景況指数は59.0で前月比2.4ポイントも上昇し低下の市場予測を良い方に裏切った。経済指標の強弱が交錯し、NYダウは取引時間中の史上最高値を更新しながらヨーロッパ市場の軟調、原油先物価格の下落、中間選挙前の様子見、大幅高の反動などもあり小幅安。為替レートは4日朝方はドル円は一時114円台をつけて113円台後半、ユーロ円は142円台前半で、10月31日朝からどちらも約5円も円安が進行し、風景はすっかり変わっていた。
 
 「突然の贈り物」で世界のマーケットに元気と安心を注入した日銀の黒田総裁は、記者会見でその理由を「期待形成のモメンタムを維持するため」と述べた。日経平均は三連休明け、319.09円高の16732.85円で始まり「4日新甫」の11月スタート。TOPIXも大幅高で1350円台に乗せて始まる。日経平均採用銘柄に買い気配が多いため値がつくにつれて急上昇。午前9時6分に17000円をあっさり突破した。ザラ場中の日経平均17000円台は2007年10月18日以来。

 9時9分には17127円まで上昇し、TOPIXは1390台をマーク。しかし9時27分には日経平均は一時17000円割れし、TOPIXは1380割れしたが17000円をはさんで小動きする展開に落ち着く。9時台の1時間だけで売買高19億株、売買代金1兆9088億円と、少し前の1日分の商い。10時台は16900円付近まで下落する局面もあったが、上海も香港もマイナスで始まるにもかかわらず10時45分に17000円台を回復して再び17000円をはさむ小動き。為替が少し円高方向に振れ、10月31日時点で16984円のボリンジャーバンドの「25日線+3σ」がレジスタンスラインの模様。少し上昇して前場を終了し前引けは17071円。TOPIXは1380を回復した。

 後場は下げて再開し、すぐ17000円の大台を割り込む。TOPIXも1370台に下がる。おおむね16950~17000円のレンジの小動きが午後2時頃まで続き、売買も急減。2時台に17000円にタッチしてもあっさり折り返し、小口の利益確定売りが入って16950円を一時割り込む。終盤には16900円もあっさり割り込むが、それでも終値は448.71円高の16862.47円で4日続伸し年初来高値を更新した。日中値幅は407円と大きい。TOPIXも+35.01の1368.65で年初来高値更新。売買高は52億株、売買代金は5兆4304億円で、2013年5月23日の「アベノミクス相場最高額」に次ぐ記録になった。

 プラスのセクターの上位は証券、その他金融、海運、輸送用機器、ガラス・土石、電気機器など。下位は小売、繊維など。マイナスのセクターは鉱業、水産・農林、石油・石炭、空運、パルプ・紙だった。

 4日のNYダウは17ドル高と小幅反発。NASDAQは15ポイント反落した。午前は大きく下げる場面もあったが、午後は前日終値付近のもみあいに終始した。EUが今年のユーロ圏成長率見通しを0.8%に下方修正。貿易字が市場予測よりも悪化し、原油先物の下落が止まらず不安をあおったが、製造業受注は0.6%で市場予測と一致。アリババの上場後初決算も好調で投資家心理を明るくした。5日朝方の為替レートはドル円は113円台半ば、ユーロ円は142円台半ばで、ユーロが少し高くなっていた。

 日経平均は77.03円安の16785.44円で反落スタート。TOPIXもマイナスで始まる。プラスに浮上し午前9時36分に16959円のピークをつけた後、10時を回ると再びマイナスに沈む。上海はプラス、香港はマイナスで始まる。11時前には16800円を一時割り込み、TOPIXは安値を更新。2日で1200円以上も上昇すると利益確定売りが入りやすく、アメリカ中間選挙の開票速報待ち、7日の雇用統計待ちの様子見も。11時台は日経平均は下げ幅を圧縮して一時プラスにタッチしたが、前引けは35円安の16827円だった。

 昼休みに日銀の黒田総裁が東京都内で講演し、「できることは何でもやる」「必要になれば躊躇なく調整を行う」など自信と強気の発言を連発。為替のドル円は円安方向に振れた。後場は前引けより安く始まるものの下げ幅を圧縮して前日終値に接近。それでもプラスにならず午後0時台は16820~16850円のレンジで小動き。1時時点で売買高20億株、売買代金2兆円の大台をクリアし前日から活発な売買が続く。1時台になるとようやくプラスに変わり16900円近くまで上昇。

 1時30分すぎ、アメリカ中間選挙で与党民主党が上院でも下院でも過半数を割って完敗という速報が流れた。「議会のねじれ解消」「伝統的に産業政策や軍事に予算を回す共和党の勝利」を好感して為替レートが反応しドル円は114円台、ユーロ円は143円台に乗せる。日経平均も16900円台に乗せるが利益確定売りに阻まれ長続きしない。2時頃にマイナスにタッチするが、そこから終盤にかけて上昇開始。16900円台を回復したかと思えば16950円も突破。高値を取りながら17000円を目指し、2時56分に16995円まで上がったが大引けで急落し約7年ぶりの終値17000円台はお預け。それでも74.85円高の16937.32円で5日続伸し終値ベースの年初来高値を更新した。日中値幅は217円。TOPIXは+3.11の1371.76。売買高は34億株、売買代金は3兆5458億円だった。

 プラスセクター上位は空運、電気・ガス、水産・農林、パルプ・紙、繊維、輸送用機器など。マイナスセクター下位は不動産、金属製品、鉱業、石油・石炭、情報・通信、証券などだった。

 5日のNYダウは100ドル高で3日ぶりに史上最高値更新。しかしNASDAQは2.92ポイント下落した。ADP雇用統計は就業者数の伸びが市場予測を上回り、原油先物も反発。規制緩和や減税を主張する共和党が勝ち、政策の恩恵を受けやすい金融やエネルギーの銘柄が軒並み高。逆にヘルスケアやIT、ネット関連は弱含み。しかし軍事関連はなぜか軟調。6日朝方の為替レートはドル円が114円台後半、ユーロ円が143円台前半で、円安がさらに進行していた。