これから季節は冬本番を迎えるわけでが、それにならったわけでもないだろうが、居酒屋業界全体が今、冬の時代を迎えつつある。居酒屋チェーンの大手ワタミ<7522>が7日、2015年3月期の業績予想を下方修正すると発表。それによれば、従来は20億円の最終黒字を予想していたが、一転してそれを30億円の赤字に修正。この予想が現実のものとなれば、ワタミは2期連続での最終赤字となる。
売上高は従来の予想よりも160億円減らして前年同期比6%ダウンの1540億円と下方修正、営業利益は従来の予想よりも37億円少ない前年同期比56%ダウンの13億円に下方修正。ワタミは今期、人員不足による過酷な勤務シフトを解消するために、60店の閉鎖を予定していたが、これを100店に増やす。また14年4~9月期の中間配当についても見送るという。そして業績の悪化を受け、取締役と執行役員の報酬を10月から来年3月まで月10~31%カットする。
こうしてワタミが下方修正を行った背景には、居酒屋業界全体の低迷、また介護や食事の宅配サービスの競争激化などもあるが、それに加えて従業員に対する過酷な勤務シフトを強いたことから、「ブラック企業」というイメージが付けられ、それによる影響も少なからずあるようだ。同様に従業員に過酷な勤務シフトを強いた大手牛丼チャーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングス<7550>が、それにより人員不足を招き深夜営業が行えなくなり業績を大きく落としたことからもわかる通り、ここのところ現場で働く社員を顧みない企業が相次いて業績を落としている。これは単なる偶然ではなく、インターネットの普及により、一度企業に付けられたイメージはどんどんとネット上で拡散・増幅し、企業側の予想を超えた大きな影響として返ってくる風潮にあるということだ。
ワタミがその業績を回復させるためにまずやるべきこと、それは事業内容の見直しというよりも、その企業に付けられてしまった「イメージ」を払しょくすることではないだろうか。(編集担当:滝川幸平)