2014年10月の倒産件数は800件で、10月度としては1990年以来の低水準となった。株式会社東京商工リサーチによると、2014年10月度の全国企業倒産は、件数(負債額1000万円以上)が800件、負債総額は1241億1300万円だった。
倒産件数は、前年同月比16.5%減(159件減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。10月度としては、1990年(646件)以来の低水準にとどまった。依然として金融機関が中小企業のリスケ要請に応じていることに加え、景気対策としての公共事業の前倒し執行などの影響で抑制された状況が続いているという。
負債総額は、同20.1%減(312億3,200万円減)で9カ月連続で前年同月を下回った。負債100億円以上の大型倒産が2カ月連続で発生なしで、負債1億円未満の倒産の構成比が73.0%(前年同月69.3%)を占め、小規模企業の倒産が目立ったとしている。
10月の産業別倒産件数は、10産業のうち8産業で前年同月を下回った。こうしたなか、不動産業は32件(前年同月比10.3%増)、5カ月連続で前年同月を上回り、消費税率引き上げ後の駆け込み需要の反動減の影響がうかがえる。一方、建設業は171件(同23.3%減)で4カ月連続で減少した。公共投資の前倒しで土木工事が26件(同43.4%減、前年同月46件)と大幅に減少している。
飲食業や広告業などを含むサービス業他は189件(同5.5%減)で3カ月ぶりに減少し、卸売業は104件(同18.1%減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。また、消費税率引き上げの影響が懸念される小売業は121件(同11.6%減)で6カ月連続で前年同月を下回ったが、業種別では機械器具小売(6→12件)、ガソリンスタンドを含む燃料小売(10→12件)などで増加した。
10月の地区別倒産件数は、9地区のうち四国と九州を除く7地区で前年同月を下回った。こうしたなか四国が17件(前年同月比41.6%増)、3カ月連続増加し、産業別では飲食店や旅館を含むサービス業他(2→4件)で増えた。九州は今年最多の80件(同9.5%増)で4カ月ぶりに増加に転じ、建設業(16→21件)、小売業(12→17件)で増加が目立った。一方、中国は48件(同14.2%減)で3カ月連続で前年同月を下回った。北海道22件(同15.3%減)と北陸20件(同13.0%減)は、ともに2カ月連続で前年同月を下回った。また、東北が26件(同16.1%減)で4カ月ぶりに減少し、中部は113件(同23.6%減)、関東が262件(同25.3%減)、近畿が212件(同11.2%減)でともに2カ月ぶりに前年同月を下回った。ただし産業別をみると、中部が製造業(21→24件)、北陸は建設業(5→7件)、東北はサービス業他(4→7件)で増加しているとした。(編集担当:慶尾六郎)